沼の見える街

ぬまがさワタリのブログです。すてきな生きもの&映画とかカルチャー。

『ガーディアンズ 伝説の勇者たち』観た。

  • ドリームワークスのCGアニメ『ガーディアンズ 伝説の勇者たち』をDVDで観てみました。日本では劇場公開されなかったのであまり知られていない作品ですが、地味に熱いファンが多いんだとか…。実際なかなか面白かったです。
  • 主人公がジャック・フロストというイケメン少年なのですが、日本で言う「冬将軍」的な概念を擬人化したキャラなんですよね(誰にも見えないという点も含めてちょっとアルまど女神っぽかった)。氷と雪の魔法をダイナミックに操るお調子者ですが、なかなかの好青年です。
  • ちなみにどういう経緯でかは知りませんが、『アナ雪』の王女エルサとのカップリング二次創作(通称ジャエル)が一部で流行しているんだとか…。作品というか、会社の枠組みすら超えていますね。海外発祥のカプだそうですが、ちょっと興味深い。
  • ジャックの仲間となるキャラクターも何というか、独特の味わい深さがあります。みんな欧米に伝わっている(子どもにまつわる)概念を擬人化した存在なんですよね。サンタクロースとか、イースターうさぎとか、歯の妖精とか、眠りをもたらすサンドマンとか。
  • しかしそのデザインが(良くも悪くも)全然かわいくないんですよね…。筋肉質のサンタクロースは右腕と左腕にそれぞれ「いい子nice」と「悪い子naughty」の刺青をいれてる、背が高くてマッチョで全然かわいくないウサギは作中でも「カンガルー」とか言われるし(ブーメラン使うし)、歯の妖精はなんかキラキラしていて胡散臭いし、サンドマンはずんぐりしたおじさんみたいな感じだし…。かなり癖のあるキャラデザです。
  • そのくせジャックだけは妙に今風のイケメンなので、ややチグハグというか、仲間が勢ぞろいしても微妙な不揃い感がありましたね…。だんだん馴染んできてみんな魅力的に思えてくるんですが。まぁこの辺も日本で売り出しづらかった一因なのでしょう…。
  • 個人的にお気に入り(というか多分もっともオイシイキャラ)なのはサンドマンですね。ちっちゃくてずんぐりしていて台詞もないし、いわゆる「黄レンジャー」的な役回りなのですが、戦ってみると物凄く強いっていう、こういうキャラは大変好みです。
  • 敵ボスのブギーマン(闇の男)にもけっこう感情移入しちゃいました。結末はちょっとかわいそうでしたが、インガオホーか…。私としてはたとえばホラー映画『ババドック』のような、「恐怖もまた大事な感情で、そんなものはないと否定するよりはちゃんと共存した方がいいんだよ…」という大人な着地のほうが好きなため、ラストはちょっと釈然としないものが残ったのですが、まぁ子ども向けなのでこれくらいがいいのかな。
  • あと子ども達がどうにも「大人がこうあってほしいと望む子ども」として描かれすぎな気がして、そこは少し気になりましたね。だってサンタやイースターバニーが実際に「実在する」と信じちゃうのも色々問題があるわけで…。「いないっちゃいないけど概念としてはあってほしいよね」くらいの冷めた態度が子どもの成長過程としてはちょうどいいような気がするんですが。これを観て「サンタは本当にいるんだ!!」と思う子どももいないと思いますし。
  • そんな感じで、あら探しをしようと思えばできるのですが、基本的には美麗でハイクオリティだしユーモアもたっぷりな、よくできた素敵なアニメ映画だったと思います。根強いファンがいるのもうなずけるな、と感じました。『アナ雪』とか楽しめたなら、せっかくだしご覧になってみては。そして「ジャエル」を漁ってみては…。では。