映画
「単純な勧善懲悪ではない」が褒め言葉として使われるようになって久しい。この世で最もありふれたフィクションの形である「勧善懲悪」、すなわち「善人が悪人をやっつける」という物語のあり方を疑う視点は、たしかに大事である。この複雑な世界が、そんな…
ただでさえ今年2023年は、『長ぐつをはいたネコと9つの命』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』『ニモーナ』など、アニメーション表現の面でもテーマ性の面でも傑出した海外アニメ映画が連発している。だがクラクラしている我々アニメ好き…
【告知】本日9/26発売の『14歳からの映画ガイド 世界の見え方が変わる100本』(河出書房新社)に私も寄稿しています。各界の映画好きの皆さんが、若い世代にガチでオススメできる「これぞ」という映画を紹介する1冊。私はジョーダン・ピール『NOPE』を…
「有名漫画家が描いた1巻完結の面白い漫画」の天下一武道会を開催したら、間違いなく優勝候補の一角を担うであろう漫画…それが『SAND LAND』(2000)である。 SAND LAND (ジャンプコミックスDIGITAL) 作者:鳥山明 集英社 Amazon 【1巻完結漫画の金字塔『SAND L…
アオサギという鳥が好きだ。日本中で見ることのできる、とても身近な野鳥でありながら、大きな体をもち、翼を広げれば全長は1.5メートルにもなる。あまり人や外敵を恐れぬ泰然とした佇まいにも目を奪われる。目元から冠羽へとつながる濃紺の模様や、長い首を…
「頭空っぽにして楽しめる映画は、頭空っぽでは作れない」という有名なことわざがある。いや実際にはないが、多くのクリエイターが同意する真理だろう。観る側は頭を空っぽにしようが熟考しようが好きに観てOKなのだが、作る側が「頭空っぽ」で雑に適当に作…
人生は一度きり。YOLO (You Only Live Once)という英語のスラングにもなっているほど、誰もが知っているはずの真実であるにもかかわらず、私たちはそのことをあまり意識しない。それは人間が、死について考えるのが苦手だからなのかもしれない。そんな私たち…
無限の可能性が広がっているということは、無限の後悔が待っているということだ。 可能性は選択を生む。今日の昼食にピザを食べるか/カレーを食べるか、まっすぐ家に帰るか/スーパーに寄るか、映画館で『アントマン&ワスプ:クアントマニア』と『別れる決心』…
2/21(火)の「アフター6ジャンクション」に「動物が主人公の海外アニメ映画に(ほぼ)ハズレ無し」というテーマで出演しました。ちょっと緊張したけどすごい楽しかった!!聞いてくださった方&実況とかしてくださったリスナーさん、ありがとうございまし…
アニメのキャラクターがどれもだいたい同じに見えてきた…などと言おうものなら、アニメファンに「それはお前の見る目の問題だ」「加齢によって細かい差異が見分けられなくなったのだ」とか怒られることだろう。実際そうかもしれない。 しかしそれでも…ハッキ…
あらすじだけで思わず観たくなる映画は沢山ある。女の子が巨大なレッサーパンダになってしまう映画。悪者が人類の数を半分に減らしてしまう映画。黒人が経営する牧場をUFOが襲う映画。2人の最強のインド人が出会い、とてつもない関係を築く映画…。万人に開…
いまインド映画がアツいことに異議を唱える映画ファンはいないだろう。『バーフバリ』旋風を起こしたS.S.ラージャマウリ監督の最新作『RRR』は日本でも絶賛ヒット中なだけでなく、欧米でも大ヒットして映画業界人の話題を集めているという。私も思う存分こと…
イ・ビョンホンが空中でがんばり、ソン・ガンホが地上でがんばる。『非常宣言』は韓国のスーパー映画スターが天と地でがんばりながら共演する、たいへんゴージャスな航空パニック映画だ。 『非常宣言』鑑賞。韓国の大スター共演で送るバイオテロ航空パニック…
毎年恒例の「映画ベスト10」発表時期がやってまいりました。今年は劇場で観た映画は116本くらいでした(配信を含んでないのと、重複があったりするので本数が正確なのかよくわからないけど大体…。) これまではイラスト+手描き文章の図解で発表していたんで…
みんな〜ウェイしてる? 私も『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』観てきました。ウェ〜〜〜イ! 『アバター: ウェイ・オブ・ウォーター』鑑賞。ドルビーシネマのハイフレームレート3Dで観たが、異世界ナショナルジオグラフィックって感じの異様な映像質感…
『THE FIRST SLAM DUNK』がとにかく素晴らしかったし、感想記事↓もかなり読んでもらってるようなので…… numagasablog.com ケジメをつけるため(?)原作漫画の『SLAM DUNK』をものすごい久々に再読してきた。思い切って全巻買ったぜ!と言いたいところだが実…
バスケットボールはあまり好きではない。中学の時、バスケ部の連中がイヤなやつばっかりだったからだ。性格の悪いイジメっ子とチャラいアホがたしなむスポーツ、それがバスケなのだろう…。そんなふうに中学生の私は考え、それ以降バスケを見たり遊んだりする…
あなたがAppleTV+に加入していなかったとして、誰に責められようか。たとえドラマや映画を日常的に見る人であったとしても、NetflixやらAmazonプライムやらDisney+やらhuluやらU-NEXTやら群雄割拠な配信サービスに膨大に流れ込んでくる作品の消化で忙しいこ…
率直に言って新海誠監督の作品はニガテであった。作画や音楽など全体としてのクオリティの高さに異論はないし人気も納得なのだが、どうにも合わない。たとえば『君の名は。』はなんであの2人が惹かれ合うのか全然わからないまま異性愛エモ全開で突っ走る感じ…
最強の映画とはなんだろうか。桁外れに強い人間や動物が暴れまわる映画。有無を言わせぬ物語の面白さで引っ張っていく映画。画作りやアクションやダンスが圧倒的に美しい映画。人が互いに抱く激情を正面から描ききる映画。起こる事態がヤバすぎて笑うしかな…
「動物が主人公の海外アニメ映画は95%面白いからさっさと観ろの法則」を知っているだろうか…? 私が勝手に言ってるだけなのでたぶん知らないと思うが、体感それくらいのアタリ率を誇るのが「動物が主人公の海外アニメ映画」であり、今回もその法則を見事に…
まさかのわくわく動物ムービー! ジョーダン・ピール監督の最新作『NOPE/ノープ』、今年ベスト級に好きな映画であると同時に、ここまで動物フィーチャーな作品に仕上がっているとは…と動物クラスタとしては嬉しい驚きがあった。ピールの過去作『ゲット・アウ…
池袋HUMAX『ウルフウォーカー』プレチケ特別上映が昨日無事に終了しました! ご来場の皆さん、ありがとうございましたー。 「ウルフウォーカーの方はこちらです!」という劇場スタッフさんの案内に導かれてシアター2へ向かう(なんかウルフウォーカー本人が…
傑作アニメ映画『ウルフウォーカー』のプレチケ上映会を(私セレクトで)企画したんですが、当日(6/24)が目前に迫ってきました!(ちなみにプレチケとは劇場の1スクリーンを貸し切って好きな映画を見ようぜという映画ファンによる映画ファンのためのイベ…
アニメ映画『FLEE』を観てきた。大変良かったし、アニメファンにとっても重要な作品と思われるので長文感想を書いておきます。関連するオススメ作品も後半でいくつか紹介。 映画『FLEE』鑑賞。同性愛を禁じるアフガニスタンから難民として「脱出」したゲイの…
中国アニメ映画『雄獅少年 少年とそらに舞う獅子』を観てきたんですが、めちゃくちゃ面白かった。感想など書き残しておきます(大きなネタバレは多分ない)。 (前の上映で公式の方にお声かけられてたのだが忙しくて行けなかったので)1週間限定の再上映が…
心待ちにしてたピクサー最新作『私ときどきレッサーパンダ』(原題:TURNING RED)、Disney+に来たので観たけど本当に素晴らしかった。(巨大レッサーパンダやころころした人間キャラの)度を越したキュートさ、見たことない圧倒的なアートワーク、軽快で畳…
今年は(新刊『ゆかいないきもの超図鑑』の作業に忙殺されていたため)すっかり遅くなってしまいましたが、なんだか毎年恒例となっている「2021年映画ベスト10」イラストがやっと完成したのでアップします。未曾有の危機の中で劇場公開してくれた、ありがた…
本当に大変な年になってしまった2020年ですが、今年も懲りずに(劇場&配信で鑑賞した作品から)映画ベスト10(+2枠)を発表します。新型コロナの恐ろしいパンデミックによって、気軽に外へ出られない生活になってしまいましたが、だからこそ世界へ通じる「…
ブログ更新が滞りまくりですが、みなさまお元気でしょうか。毎年恒例にして2010年代最後となる「映画ベスト10」イラストを描きましたので、映画鑑賞の参考にしてください(今は見る手段がないのもあるかもだけど)。鑑賞本数は124本(多分)です。なんかジャ…