沼の見える街

ぬまがさワタリのブログです。すてきな生きもの&映画とかカルチャー。

カブトガニ&ルンバ(『ロボットはなぜ生き物に似てしまうのか』)

『ロボットはなぜ生き物に似てしまうのか』という本を読んだのだが、カブトガニとルンバが似ているという話が面白かった。こういう能力/機能をもつ存在を生み出せと言われたら、自然も人間も同じような「答え」に行き着くという例かもしれない…。

『ロボットはなぜ生き物に似てしまうのか 工学に立ちはだかる「究極の力学構造」』、面白いどうぶつ&工学本なのでぜひ。人工的に真似しようと思ってもできない生命の特殊性と、工学の可能性について考える本。電子版が半額になっている(たぶん本日9/7まで)。kindle unlimitedにもあるよ。

『ロボットはなぜ生き物に似てしまうのか』はロボット工学者による本なのだが、そもそも魚や鳥のような「元ネタ」を知らなければ、「泳ぐ」「飛ぶ」機械を作るという発想に至らなかった可能性もある、と語ってて興味深い。「模倣」以前に、私たちの発想そのものが実は他の生命に規定されているのかもと。

さらに言えば、「人間=私たち自身」という「モデル動物」がいなければ、人間の脚や腕によく似たパーツを連結したロボット(ショベルカーや産業用ロボットなど)の、基本的なメカニズムに至ることは難しかっただろうとも語られる。多くの人工物が、思われている以上に動物や人間に似ているのかも…。

『ロボットはなぜ生き物に似てしまうのか』、動力を追求するロボット設計者にとって究極の憧れでもある部位、それは「筋肉」である…という話も面白い。筋肉は「生き物の体を駆動させるモータ」であり、大きな制御装置や電源も不要、体の隅々に配置できるという、夢のようなアクチュエータ(動力源)とのこと。人工筋肉もあるけど生物の筋肉とはまだ似て非なるものなんだよね。

一方で、『ロボットはなぜ生き物に似てしまうのか』で「おお…」となった箇所(p256)。

①血管という精密なパイプ、②DNAによる複製という、2大「工学者が憧れる生き物ならではの機能」が、実はガンや心疾患など日本人の死因トップ3とも対応してるという事実。最大の強みが最大の弱点でもあるという洞察が光る。面白い本なのでセール中にでも読んでみてね。

おまけ ↓うちのカブトガニちゃん