沼の見える街

ぬまがさワタリのブログです。すてきな生きもの&映画とかカルチャー。

翻訳とコスパ

  • 今日も延々と翻訳をしていたが、ひとつ気づいたことがある。それは「お金つかわねえ…」ということだ。たとえば何かをインプットするにしても、映画を観たり本を読んだり漫画を読んだりすれば、その都度お金を使う。もちろん使わないで済むインプットもあるが、ある程度の手ごたえ(歯ごたえ?食べごたえ?)のある情報を取り入れようとすれば、やはりお金を払うことになる。しかし「翻訳」という情報摂取の方法は、あらゆるインプットの中でもぶっちぎりで時間がかかると言っていい。
  • 2000円くらいの和書を一冊買って読むのにかかる時間はせいぜい3〜4時間くらいだろうが、これが同じ分量の洋書でイチイチ辞書を引いて翻訳しながら読むとなると、かかる時間は10倍ではすまない(もちろん語学力によりけりだろうけど)。だが逆に言えば、翻訳を「読書」という「娯楽」の一環としてとらえると、そのコストパフォーマンスは普通に本を読むことの10倍ということになる。同じお金で10倍の時間「楽しめる」わけだから…。
  • とはいえ、その「楽しさ」の質というものが全然違うだろうから、「コスパ」なんて言葉に当てはめることはできないんだけど。でもまあ、ふと「えらいコスパ高いよな、翻訳…」と思ったので。現に私、ここ最近翻訳ばっかしてるせいで全然読書にお金を使ってないしな…。今月唯一買った本は『マッドマックス 怒りのデスロード』のメイキング本。この状況もちょっとどうかと思うけども…。
  • まあフォロー的に言っておけば、「翻訳は最も徹底的な読書」という言葉は、なるほど、そりゃあそうだろうなと思う。(私みたいな未熟者ではなくて)一流の翻訳者になると、ヘタするとその文章を筆者よりもちゃんと読んでいる可能性がある。少なくとも、書評家や批評家が読みの精度で翻訳者に太刀打ちすることはまず不可能だと思う。単純に、その本を「読むこと」にかけている時間がまったく違うから。とはいえ、有名な翻訳者なんて数えるほどしかいないし、やはり裏方なので今まであんまり光は当たってこなかった。でも最近「翻訳大賞」なんていうTwitter発の賞も盛り上がったようで、いい流れが生まれつつあるのかな〜と思うとちょっと嬉しい。まあ、情けないことに受賞作とか全然読めてないんですけどね…。神保町の本屋さん探したのに全然置いてないんだもの。映画もいいけど、本も読まんとな…。
  • あと、デジタルで漫画を描くのがいかに趣味としてのコスパが高いかという話をしようと思ってたんだけど、今日はもういいや。ではまた。