沼の見える街

ぬまがさワタリのブログです。すてきな生きもの&映画とかカルチャー。

はてなブログProにしてみた&最近のオススメ本

意外と開設7年くらい経過していた本ブログ「沼の見える街」ですが、このたび「はてなブログPro」にアップグレードしてみました。始めてから1年くらいはやたら熱心に毎日更新→作家業が忙しくなってきて数年完全放置…からの→最近またブログ再開…という流れになってきたので、まぁ月600円(2年プラン)とかだしProにしてみるか〜と。

Twitterの生きもの図解系は基本的にブログにもあげていて、それは引き続きやろうと思うのと同時に、(初期はいちいち観る/読むたび書いていた)映画や本の感想をなるべく復活させたいと思ってます…。Twitterにはよく書いてるけど、書いてもすぐ流れていってしまってログ性が低いのと、せっかくインプットしたら出力しないともったいない感じもするので。ていねいな暮らしがしたい(?)

今年はPIXIV FANBOXを始めたりもしたんですが、色々あって結局やめてしまったので、FANBOXでやろうと思っていたことをこっちでやろうかな、とかぼんやり考えてます。一周してブログに戻ってきた感。

とりあえずPro料金の元を取るためと、ブログ更新のモチベが多少上がるといいなという目論見で、GoogleアドセンスとAmazonアソシエイトに登録してみました。(リンクから買ってもらうと少しお金が入るらしい。審査まだ通ってないけど。)

とりあえずここ最近読んだ中で面白かった本などをつらつら挙げていくので、興味湧いたらゲットしてくださいね。

 

『ネアンデルタール人は私たちと交配した』スヴァンテ・ペーボ

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このたびノーベル生理学・医学賞を受賞した進化生物学者スヴァンテ・ペーボ氏による、日本語で読める著作。「珍しく生物学がノーベル賞とったど〜!」と生物クラスタがわいわいしてたので(やったね)、さっそく読んでみた。

数万年前に絶滅し、遺伝子も絶えてしまったと思われていたネアンデルタール人。だがベーポ氏はその古代DNAを復元することに成功し、それらが実は人類に受け継がれているという大発見に辿り着く…。そこに至るまでの長く険しい道のりを本人が語る1冊。DNA解読にまつわる専門的な部分はけっこう難しくて、一度読んだだけでは完全には理解しきれなかったんだけど、テーマの壮大さやペーボ氏本人の人となりの興味深さもあって、サイエンス読み物として面白かった。

「古代DNAを復元!」と宣言するは易しだが、実際には長時間が経過したDNAの復元というのは本当に困難。それなのに同業者がろくに検証もせずに「恐竜のDNAを復元したど〜!」とか適当なことを宣言しまくるせいで、うちらの真面目にやってる研究が霞みそうでめっちゃモヤついたわ…的な、「わ、わかる〜」となる苛立ちや焦燥感とかも赤裸々に描写されてて、どこの業界もそういうのあるんだな…って興味深かった。

でも(巻末で更科功氏が解説してるように)、センセーショナルな「発見」を煽る世間に流されずグッとこらえて、淡々と地味に科学的真実にたどりつこうとする努力こそがペーボ氏の素晴らしさで、その道のりが立派に報われて、このたびノーベル賞まで受賞したわけだから、シンプルによかったなあという気持ちになれる。

先述したようにペーボ氏の人柄も興味深い。科学者として分子生物学に没頭しながらも、同時になぜかエジプト学研究にどうしようもなく強く惹きつけられ、勝手にミイラを作ったりして顰蹙を買っていた(さらにミイラのDNAの解読を誤って宣言してしまった)という話が面白い。

「古代人の考古学」と「分子生物学」って、その後のネアンデルタール人の大発見を思えばまさにドンピシャな組み合わせだが、まさに文系と理系って感じで、当時は互いに無関係な領域でしかなかっただろうし、ペーボ氏も周りに「よそ見してないで一方に集中しろ!」と言われたかもしれない。

それでも、ペーボ氏の分子生物学とエジプト考古学に対する領域横断的な好奇心の深まりこそが、後にノーベル賞級の大発見に繋がったわけで、やはり知的領域って「文系/理系」でバッキリ分けられるようなもんでもないし、雑な二元論で重要な気づきを逃すこともあるよな〜とつくづく思う。

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↑ ペーボ氏の探求を読みながら、前に読んだ本『RANGE(レンジ) 知識の「幅」が最強の武器になる』を思い出したりもした。まぁ私自身が常に興味の対象が複数ジャンルにまたがるタチだから、願望も入ってるかもしれないけどね…。「深さ」が重要なのは大前提だけど、幅の広さにも目を向けるべきなのは確かだと思う。

 

あと『ネアンデルタール人は私たちと交配した』の副読本としてオススメされてた(著者のヘンリー・ジーさんがちらっと登場する)『超圧縮 地球生物全史』も読んでる。まだ序盤だけど面白い!

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こういう「地球/生物/人類全史」みたいな無茶っぽい本、専門的な見地からは批判的な意見も色々あるんだと思うが(ダイアモンドとかハラリとかもわりと批判されてるし)、かなり好きでしょっちゅう読んでしまう…。まぁ歴史にしろ科学にしろ、広く浅く大局的な本と、狭く深く局地的な本、どっちもバランス良く読めばいいかなって。

 

『海の極限生物』スティーブン・R. パルンビ

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最近読んだ生物本の中でも特に面白かった1冊。灼熱の火山みたいな熱水噴出孔で生存するポンペイワームから、極寒の海で驚異的な長寿を誇るクジラまで、極限すぎる海の環境で生き抜く動物たちの極端な能力や生態を、海洋生物学者が美しくユーモラスな筆致で紹介していく。海は広いし半端ない!と実感できるエキサイティングな読み物。 もっと具体的に紹介したいところだが、次の図解の参考にさせていただくつもり。

しかしこんなに面白くて濃密で学びの多い良書なのに、amazonでは「写真集かと思ったのに違った」とかいうワケわからん理由で低評価されていて気の毒だった。真の極限環境はamazon。でも今見たら入荷待ちになってたから、呟き見て誰か買ったのなら良かった。

 

『読者に憐れみを ヴォネガットが教える「書くことについて」』

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 敬愛する作家カート・ヴォネガットの新作!?……と思えてくるほどの手触りと親しみに満ちた文章読本。ヴォネガットの文学講義を受けていた生徒が、彼の説く創作への心構えや作家志望者への助言をまとめた。作品と同じく皮肉なマインドを持ちながら、ヴォネガットが優しさと熱意に溢れた教師だったことが伝わる。作家に限らず何か"書く"人なら得るものがあるはず。

 良い文章を書くためにまず必要なものは小手先の技術でなく、「自分が関心のある(そして他の人も関心を持つべきだと思う)テーマを見つけること」というヴォネガットの最初のアドバイスは、単純だが確かにすごく大事だし、初心者も上級者も意外と忘れがちなことかもな…と思った。

 良い文章の例としてヴォネガットが紹介するのが娘の書いた手紙。レストランでバイトしてた彼女が、同僚にクレームをつけた客に反論するという、小説でも何でもない現実的な文章なのだが、確かに書き手に強い動機(≒テーマ)があり、だからこそ力強く心を打つ文章になっている。

 最も有名な作品にして最高傑作であろう『スローターハウス5』を書くまでに、ヴォネガットが想像を絶するような人生経験と紆余曲折を経たことを考えても、やはり創作に小手先は通用しないし、そう効率化もできないし、焦ったって仕方ないよな…と思えてくるかも。

 具体的な文章アドバイスも多く、特に「とにかく明快に、簡潔に書くこと」を重視するヴォネガットの助言の数々は(小説家ではないが)普通に参考にせねばな…と思った。文章を読むことは誰だって本当は大変なのだから、「読者を憐れんで」あげなさいと(タイトルの由来)。これは私も、生きもの図解とかを書くにあたっても肝に銘じる必要がありそうね…。

 ところで大作家の『書くことについて』といえばまず思いつくのはスティーヴン・キングのこれ(読み直そうかな)。

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ヴォネガットとキングは全く違う作家だけど、2人とも「書くことそのものが恵みであり(仕事になろうとなるまいと)人生の救いだ、だからどんどん書こう」といった内容のことを語ってるのが素敵だなと思う。みんなも何かしら書こうね!

 

『【全面改訂 第3版】ほったらかし投資術』山崎元・水瀬ケンイチ

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急に投資の本ってなんだよという感じであるが、やはりフリーランスの作家とかやってると金銭と向き合わざるをえない機会も多く、積立NISAだのIDECOだのといった投資について考える状況も増えるので、ちょいちょい投資の本を読んだりしてお勉強しているのである(えらい)。

ただその結果、大抵の本には同じようなことが書いてあるといっても過言ではないと気づき、そのエッセンスが最もシンプルな形で凝縮されているのが本書だと思ったので、もうこの方針に従うことにした…。タイトル通り死ぬほど単純だし、素人考えで下手に悩んでいじくり回すよりは、プロが推奨するやり方をいったん鵜呑みにして、本業に集中した方がいいと思ったのもある。

もちろんこれが絶対の正解ではないのだろうが、明らかに王道のひとつではあるはずなので、「投資って何をどうすれば…」というレベルの人も一読オススメ。私もこの方針でとりあえず5年くらい様子を見るつもり。さっさと資本主義経済の鎖から解き放たれたいものだ!

余談だけど、投資にまつわる話って、妙に「技術を獲得する」プロセスと重なるところが多い気がして、門外漢ながら興味深いなと思っている。市場にどんな変化があろうと地道に投資を続けることの大切さを示す、「投資家は"稲妻が輝く瞬間"に市場に居合わさなければならない」という有名な格言があるらしいが、これって技術を得るための鍛錬にも言えることだよな〜とか思ったり。

あまり成果が出ないように思えても、諦めずに鍛錬を淡々と積み重ねていくことで、ある時「稲妻が輝く」ように飛躍する瞬間というのは、様々なジャンルの人に覚えがあると思うし、その瞬間を掴み逃さないためにはマジで地道な継続が大事なのだ…というのは、かなり普遍的なエッセンスだなと。こういう興味深い視点も得られるし、たまには(投資だの経済だの)門外漢なジャンルを覗いてみるのも良いかもですね。

 

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せっかくPro化したので、こんな感じで読んだもの・観たもののログを(簡単にでも)残せていったらいいなと思います。たぶん…できれば…

 

あ、私が出したKindle本も引き続きよろしくね。やすいよ〜

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