- マイケル・マン監督の映画『ブラックハット』みた。TOHOシネマズみゆき座、0円(6ポイント鑑賞)。こんなド硬派なサスペンスは久しぶりかも。『アメリカン・スナイパー』以来だろうか…(わりと最近だな)。
- マイケル・マンといえば、荒木飛呂彦がリスペクトしている監督として有名ですね(偏った認識)。マン監督の『ヒート』は荒木先生の生涯ベスト映画らしい。アル・パチーノとロバート・デ・ニーロが共演した名作ですな。…でも生涯ベストってすごいな。まじでか。
- 『ヒート』、たしかに渋くて面白くて格好いいクライムサスペンスだと思うけど、長い割には意外とこう、地味というか…。でもとはいえ、世界中のアーティストや映画通がめちゃくちゃリスペクトしてる、もはや教典みたいな作品のようなので、とらえきれていない魅力があるのだろう。私のようなコワッパにはまだ早いということなのかもしれない…。
- ちなみにマイケル・マン監督では『コラテラル』が一番好き。タクシー運ちゃんがウッカリ、殺人鬼のトム・クルーズを乗せちゃって大変なことになる話。誰が見ても単純に面白いと思う。(蓮實重彦も絶賛してるようなので何かもっと深い批評的な見方もあるんだろうけど。)
- まあとにかくジョジョファンとしては、マイケル・マン監督が何か出したら、まずはチェックすることを強いられているんだ!ってトコですね。しかも5年ぶりの新作ですよ。そりゃ行くよ、たとえ公開規模がやたら小さくても…(世界的な巨匠なのになあ)。
- あ、「みゆき座」って初めて入った。スクリーンが小さいわりに客席が妙に縦長で、変な劇場…と思ったけど、音響はたしかにすごくいい(自慢するほどのことはある)。でも、もうすぐ潰れちゃうらしい。オールドファンは悲しいだろうな。
- さて、『ブラックハット』だが、基本的にはやっぱり渋くてカッコよくて面白かった。主演は『マイティ・ソー』のクリス・ヘムズワースで、順当にひたすらカッコイイ。最近だと『ラッシュ/プライドと友情』の熱いチャラ男がすごくよかったけど、今回の「天才ハカー」役も今までにないストイックな雰囲気で熱かった。
- 終盤に絶句ものの衝撃の展開があって、一気に空気が張り詰める。そこから爆発するように最終決戦になだれこむシークエンスにうっとりした。ジャカルタの祭の夜に、おおぜいの人が行き交う中での闘いの場面も、見たことのないような幻想的な美しさ。音楽も美術も演技も脚本も全てがハイレベルで、金を払って映画館で見るに価する(無料で見たけど)、優れた映画であることは間違いない。…と思う。
- ただやっぱりこう、マイケル・マン作品によくある、「おもしろかった、んだよな、これは…?」みたいな独特の後味が残るのも確か。「面白かったし、映画にもっと精通した人ならもっと面白いのだろうな…」って感じ。同じサスペンスでいうと、たとえば『ゴーン・ガール』のデイヴィッド・フィンチャー監督作品みたいに、見てる途中も「ウギャーおもしれーー!」で、見た後も「ウオオおもしろかったーーー!」というような作品では、ない。
- なんて言えばいいんですかね。「目新しい」作品では、やっぱりないよね、これ…?サイバーテロという「現代的な犯罪」がテーマということなんですが、まあ映画ならずとも、日本のアニメとか普通に見ていたら、馴染みありまくりなお話というか。もっといえば、物語としては「ありがちで地味」に思えちゃうというか…。
- むしろ、「こんなありがちな話を、よくぞここまでスタイリッシュに渋くリアリティをもって描けるものだなあ、さすが巨匠」と感嘆したんだけれども。
- 似たようなことを、ウディ・アレン監督の『マジック・イン・ムーンライト』を見たときも思った。「たしかにハイクオリティだけども、よくもまあ、こんな面白いのかどうか微妙によくわからない地味な作品を、堂々と作れるよな…」と。「巨匠ってすげーんだな、逆に…」と、思った。今回の『ブラックハット』も、けっこうそんな感じの感想。『マジック〜』よりは、ずっと、「ふつうに」面白かったんだけど。まあ比べるのも変か。
- だいぶ長くなっちゃったので今日はここまで。映画見て帰ってきて絵も描いて感想も書いて、はさすがにやりすぎかもしれぬ…。スロウダウン。