沼の見える街

ぬまがさワタリのブログです。すてきな生きもの&映画とかカルチャー。

大迷惑だよマイケル・マン

  • 少し前に映画『ブラックハット』の話をしたが、同じくマイケル・マン監督の『マイアミ・バイス』がhuluに入っていたのでこのまえ見た。麻薬組織に潜入する覆面FBI捜査官の話で、もとはTVドラマだったのを映画化した作品。
  • その中にある作戦が登場する。運び屋を装って船に麻薬を積ませ、その取り引き現場を一斉に抑えるというものだ。
  • で、最近たまたま読んだノンフィクション『メキシコ麻薬戦争』という本の中に、それにまつわる面白いエピソードがあった。ガチの麻薬組織にずっと潜入しているリアル捜査官が、ふらりと寄った映画館で『マイアミバイス』を見たら、自分がまさに実行しようとしていた例の船の作戦が上映されていて、めちゃくちゃ焦ったというのだ。組織の連中が映画を観ていたら殺される!と。想像するとマジこわい。結局は誰も観ていなくて、ことなきを得たようだが…。
  • その本ではもちろん「いい迷惑だぜ!」的なニュアンスで語られていたが、もしこの話が映画のパンフレットにでものっていたら、「綿密な取材を重ねてリアリティを追求するマイケル・マン監督スゲー!」というエピソードにもなりうる、というところが面白い。
  • 「泥棒の映画を撮りたければ、泥棒映画をみるな。泥棒に会え」とはマイケル・マン監督の名言。(岸辺露伴の「味もみておこう」と大意は同じですね。)最新作のハッキング映画『ブラックハット』でも、マジモンのスーパーハカーを雇って監修させたというからスゴイ。
  • 船の件では、リアリティの追求というフィクションの至上命題が、ついに「リアル」と衝突してしまったというわけだ。映画と覆面捜査、どっちも嘘が商売ですものね…。あるいみ商売敵なのか。なんだか妙に象徴的なエピソードだった。以上、映画小話でした…。
  • 今日は飲み会でくたびれたが、がんばって帰りの電車の中で更新してみました。iPhoneばんざいですね。もうすぐ着くので、この辺で…。