沼の見える街

ぬまがさワタリのブログです。すてきな生きもの&映画とかカルチャー。

図解・ウクライナの動物たちの今

ロシア軍の侵攻によって破壊と混沌がもたらされているウクライナで、動物たち(ペット/動物園/野生)がどのような被害や影響を受けているか、今わかる範囲で簡潔に図解しました。動物関連の支援先もいくつか挙げるので(寄付ページのQRコード付き)無理ない範囲で援助を検討してください。一刻も早い戦争の終結を、動物好きとして願うばかりです。図解の後に、寄付ページや参考ページの補足を載せておきます。

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こちらのスタンプで恒例の(?)「スタンプ募金」もやりますので、海外サイトとかちょっと怖い、若干めんどいという方は購入してもらえれば売り上げから寄付に回しておきます。

store.line.me

 

<紹介した寄付ページまとめ>

最後の2つ以外は自分でも寄付して試し済みです。

 

IFAW (国際動物福祉基金

www.ifaw.org

1回/毎月で金額を選ぶ形です。寄付するとお礼メールがきます。

 

IFAWへの直接の寄付も別に簡単ですが(クレジットカードなどあれば)、日本語の方が安心できるという方は、ペット保険のアニコム株式会社が募金プロジェクトを手掛けています。

prtimes.jp

 

EAZA(ヨーロッパ動物園・水族館協会)の支援ページ

Emergency appeal for Ukrainian zoos » EAZA

カード番号入力すればすぐ完了。確認メールなどは現状なし。お礼メッセージが表示。

 

ミコライウ動物園のページ。オンラインチケットを買えます。

zoo.nikolaev.ua

ウクライナ語がびっしりなのでハードルは高めですが、英語設定ができるのと、右上のチケット購入→時間選択で普通に買えました。1枚400円くらいなので気軽ですし。

ミコライウ動物園の厳しい現状はこちらのリプなども参照…。

 

続いて、ウクライナ現地の動物愛護団体

ロシア侵攻の危険を承知で残るスタッフが多いということで、それはそれで心配ですが、現地ならではのフットワークなど考えると一番有効な支援のひとつかもしれません。

HappyPaw

happypaw.ua

金額は50〜500UAHで、毎月/1回だけか選ぶ。
電話番号は「+81」足して最初の「0」抜く。

 

UAnimals

www.patreon.com

パトレオンのサービスを使っていて、月額方式なのでちょっとハードル高めかな。(まだ自分では試してません。)ただ国内では最もメジャーな動物愛護団体なので実効性も高いんじゃないでしょうか。

 

動物シェルターの「シリウス」。

dogcat.com.ua

戦争ですみかを失った犬猫などをケアします。(寄付しようと思ったけどなぜかカードがはねられた…。)

 

<主な参考ページまとめ>

○「戦時中の動物福祉」という英語記事。重要な視点が書いてあり、図解を作る上での参考にしました。

https://www.vox.com/22996601/animal-welfare-ukraine-wartime-international-humanitarian-law

 

○避難する人々とペットの写真がたくさん(CBSニュース)。苦難の中でより強まる、動物と人間の深いつながりが垣間見えます。

www.cbsnews.com

 

キエフの動物園の現状を書く英語記事。ワシントンポスト

www.washingtonpost.com

 

○まだ日本語での報道がほとんどない(しょうがないけど)、ウクライナの野生動物の生態系へのダメージに関する記事。黒海生物圏保護区については本ページで知りました。全容がわかるのはこれからでしょう。

wilderness-society.org

 

ポーランドに避難する動物たちの記事。小ヤギのサーシャも登場。

www.cnn.co.jp

 

同テーマのBBC記事。

How animals in Ukraine are being rescued during war - BBC News

 

いったんこんな感じです。また何かあれば追記するかも。

『雄獅少年 少年とそらに舞う獅子』が凄かった話

中国アニメ映画『雄獅少年 少年とそらに舞う獅子』を観てきたんですが、めちゃくちゃ面白かった。感想など書き残しておきます(大きなネタバレは多分ない)。

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(前の上映で公式の方にお声かけられてたのだが忙しくて行けなかったので)1週間限定の再上映が始まった池袋で観てきたんだけど、これがとんでもなく凄かった。『羅小黒戦記』などの中国アニメファン、っていうか海外アニメファン、っていうかアニメファン全般は間違いなく見て損ないです。ほとんどの人が一度も見たことないタイプのアニメ映画であることは約束できる。

dianying.jp

ざっくりストーリー。田舎の冴えない少年たちが中国の伝統的な芸能「獅子舞」を極めようと頑張る話。獅子舞と言っても、日本のいわゆる獅子舞とは異なり、現実に中国に伝統的に存在する「獅子舞」をもとにした造形で、ライオンと虎といもむしを融合したような、なんともいえない不気味さと美しさをたたえた異形の外見をしている。

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そんな異形の獅子舞がド派手にアクションを繰り広げる冒頭からガッと掴まれる。(アジア的な美を求める海外の観客にも強く訴えそうだな、と思ったし国際的な戦略も感じた。)本作の「獅子舞」、伝統芸能と呼ぶにはあまりにアクロバティックでアグレッシブというか、スポーツとダンスとアートとバトルを融合したような何かとなっていて、とにかくすごい熱量のアクションを見ることができる。
『雄獅少年 少年とそらに舞う獅子』、獅子舞アクションの激しさで観客にパンチを叩き込みつつ、ズッコケ三人組みたいな冴えない少年たちとおっさんのしょう~もないギャグが連発する楽しい成長譚のギャップもいい。

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悲しさも熱さもたっぷりな王道感動ストーリーな一方で(予告からも伺えるけど)今どきこんなんやる!?ってくらい本当〜にマジしょうもないギャグとかも死ぬほど入れてきて、「絶対にウェットなだけの話にはしないぞ」という意地っていうかもはや思想を感じた。振れ幅がでかすぎるんよ! …まぁ最近見た中国の実写コメディ系(唐人街探偵とか)のトーンもこんな感じだったので、中国の観客的には安心して笑えるいつものノリなんだと思う。でもそんなスットコドッコイな前半があったからこそ、中盤の「ある出来事」から作品の空気が一転するくだりは真剣に心打たれてしまった。
本作は獅子舞の幻想的なインパクトが目立つ一方、実はファンタジー的な要素は皆無に等しく、アニメ作品としては異例なほどリアリティレベルが高い。貧困や格差など、社会の厳しい現実からも目を離さず、「獅子舞なんかやって何になるの?お金にならないでしょ?」という冷めた視点も常にある。師匠ポジションのおっちゃんも昔は獅子舞を極めていたけど、現実の重みに負けて辞めてしまった。主人公も、あるどうしようもない運命によって、大好きな獅子舞から引き離されてしまう。
そのあまりに悲しい獅子舞との別離と、そこからどう主人公が立ち上がっていくかを示すことこそが、本作の最も素晴らしく、心を熱くするところだと思う。誰だって夢も希望も持っているけど、世の中は圧倒的に不平等であり、誰しもが夢や希望を追い続けられるとは限らない、という非情な現実を(アニメとしては前代未聞なほど)高い解像度で描いてみせる。しかし、だからこそ「現実を超越したどこか」に繋がる扉として獅子舞が輝きを放ち、あの屋上での美しく力強い「舞」の場面が脳裏に焼き付く。間違いなく本作の白眉だと思う。
 そんな中盤の展開にも顕著だが、「現実社会への眼差しとエンタメ性の結合」という最も面白いと感じたポイントが(作品としては全く違うのだが)先日のインタビューでも語った『時光代理人』と深く共通してるなと。正直、どちらもいま日本アニメに一番「ない」タイプの作品のようにも感じられる…。

natalie.mu

またこの記事で、中国アニメの作り手は「世界中の誰にでも伝わる面白さ」を志しているのではないか、と語ったけど、『雄獅少年』もまさにそれだった。中国伝統の「獅子舞」という極めてローカルな題材を扱いながら、どの国/社会/文化にも絶対に存在するであろう苦悩や情熱を描いている。
あの素晴らしいシーンは、芸術でもスポーツでも趣味でもなんでも、不平等で苦渋に満ちた現実から飛躍するための"何か"を心に抱く人であれば、世界のどこで生きていたとしても確実に心を打たれるのではないかという凄みがあった。
 それと『雄獅少年』、序盤でヒロイン的な女性キャラが登場して、どう絡むんだろ〜と見てたら、全く予想してない形で物語にズシンとした重みを与えるキャラだったのでかなり驚いた。主役陣みんな男だし、しょうもないギャグもたくさんあるし、ボーイズクラブ的/ホモソ的になりかねない話のはずだが、彼女のキャラの「語られ方」のおかげで絶妙に回避されていて唸る。それでいてちゃんと重要な役割も与えられていて、クライマックスでは彼女の行動が契機となり、本作で最もストレートに「熱い」展開へとなだれこんでいくのも素晴らしい。結末は必ずしも甘くないけど、主人公たち(彼女も含めて)と似た境遇にいる、心に「獅子舞」をもつ人たちを、力強く励ます終わり方になっていた。とにかく最初から最後まで考え抜かれた作りゆえに「誰もが楽しめる」王道エンタメになったのだなと脱帽。
 そんな『雄獅少年』、すっごい良かったけど1つだけ引っかかったのは、クライマックスの主人公のある選択(ケガをおして…のくだり)を肯定しちゃうのは、本作を一種の「スポーツもの」として見た時ちょっとどうなんだろ…とは初見で感じなくもなかった(よくある展開といえばそうだが、現代スポーツものではかなりアップデートがされ始めてる部分でもあるので)。
…だが、本作における獅子舞は彼にとっては単なるスポーツじゃない、人を惨めな生活に押し込める構造から一瞬でも飛び立つための突破口なんだ!!ってことは中盤の描写からもひしひし伝わってきたから、それを安全圏から「無理しすぎるのはどうなの」って批評すること自体が野暮ってものかもしれない、と考え直してもいる。
 アカデミー賞直前で映画館も話題作で大渋滞ではあるが、池袋にアクセスできる人には『雄獅少年 少年とそらに舞う獅子』を強くオススメしたい次第。特別上映の劇場は池袋グランドシネマサンシャインで、2番目に大きくて立派なスクリーンを当ててもらってるにもかかわらず、私が見た初日はそんな埋まってる感じでもなかったので本当もったいない! とりあえず『羅小黒戦記』勢は今週中に全員駆けつけるべき(乱暴)。私的にもかなりの確率で今年のベスト10に入る勢いです。おしまい。

赤きモコモコ!レッサーパンダ図解

いまアツい赤きパンダ「レッサーパンダ」の生き様や、知ってるようで知らないジャイアントパンダとの関係を図解しました。巨大レッサーパンダがアニメで大暴れしている今こそ、「レッサーパンダってパンダの小さい版なんでしょ」というユルい認識をターニングレッドするべきタイミングかもしれません。

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おすすめ参考記事。映画『私ときどきレッサーパンダ』の話題に絡めてレッサーパンダの今について解説してます。

atmos.earth

こちらもどうぞ…ついでに。

numagasa.hatenablog.com

 

『私ときどきレッサーパンダ』が最高だった話。

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心待ちにしてたピクサー最新作『私ときどきレッサーパンダ』(原題:TURNING RED)、Disney+に来たので観たけど本当に素晴らしかった。(巨大レッサーパンダやころころした人間キャラの)度を越したキュートさ、見たことない圧倒的なアートワーク、軽快で畳み掛けるようなユーモア、「そうきたか!!」というアッと驚くアイディアがこれでもかと詰め込まれた至福の100分だった。ディズニー側の都合で(アメリカはしょうがないのか知らんけど日本では劇場公開してくれたっていいだろ!!!)映画館で味わえなかったのが心から残念だしディズニーまじムカつくのでレッサーパンダに変身しそうなのだが、作品自体は文句のつけようがなく、ピクサーの新たな時代を告げる傑作だと思う。

ストーリーを超ざっくり書くと、カナダで暮らす中国系のオタクな女の子メイメイが、同じくオタクっぽい友達ーズ(超いい)と楽しく暮らしていたのだが、ある日先祖の呪い的な不思議パワーによって巨大レッサーパンダに変身してしまう!変身の引き金はどうやら彼女の「感情の昂り」らしく…?って話。

監督は短編「Bao」を作った中国系カナダ人女性のドミー・シー氏。(「インクレディブル・ファミリー」の同時上映だった短編。)いい機会だし「Bao」も見返したけど、圧巻のもちもち3D描写や、親が子を思う気持ちを肉まんで表現するぶっ飛び方、だからこそ終盤の「あっ!!!」と声出しそうになる展開など、なんつーか才能がほとばしりまくった大変なアニメ短編であった…。そして『レッサーパンダ』のテーマにもかなり深く連なってくるので確実に見返したほうがいいと思う。

ドミー・シー氏のような才能あふれる、しかし(女性、アジアルーツなど)アニメ界ではさまざまな意味でマイノリティにあたる監督が、超メジャーのピクサーで映画を作っただけでもエポックメイキングなのだが、それがここまで見事な出来とは感動するしかない。それだけに劇場公開中止の判断が全く関係ない私でさえとても悔しいので、作り手はさぞやさぞや残念なことだと思う。まぁだからって傑作っぷりは変わらないけど。

『私ときどきレッサーパンダ』は、ドミー・シー監督を筆頭に女性スタッフ主導で作り上げたことに大きな意義と意味がある映画。女の子同士のハチャメチャ日常や友情物語、母と娘の複雑で味わい深い関係性といった物語全体や、さらに細部にいたるまで、「女性による女性レペゼン」的な要素がとても強く、新時代的なフレッシュさを生んでいた。細部では、たとえば生理について(ディズニー/ピクサーに限らず)ここまでちゃんと言及する全年齢向けアニメは初めて見た…。女性にとってはものすごく身近な話題のはずなのに、フィクションで触れられることがあまりに少ないトピックでもあるので。こうしたことをピクサーのような大御所が女性主導でやるのは本当に画期的だなと感銘を受ける。そうした生理にまつわる気まずさや恥ずかしさ(まさに原題のTurning Red=赤くなるという…)は、普遍的な思春期の「性」への戸惑いとしてビビッドに描かれていたし、男子が見ても大いに共感できる話に仕上がっていたと思う。

メイメイが(カフカの『変身』のように)変身してしまう「レッサーパンダ」が何を象徴するのかも、多様な解釈ができて面白い。基本的には「その人がうちに秘めた、時には荒れ狂うような大きな情念」ということだけど、「情念」というのが「創作マインド」だったり「性欲」だったり「恥ずかしさ」「喜び」「怒り」だったり、あるいはそうした全ての混合だったり、多層的な見方が可能になってる。ひとつ言えるのはこうした全ての「情念」を(特にアジア圏では)女性があまり表に出すべきではない…という社会的な抑圧が存在するということ。これを踏まえると、女性メインで作ったことの意味がさらに増すし、社会へのカウンター的な作品でもある思う。

こうした情念の中でも(私自身が作家なこともあり)やっぱり特に注目したいのは「創作マインド」で、ここでメイメイがオタク女子なことが重要になってくる。メイメイは小さな火花のような(性の目覚めっぽさもある)ときめきを、燃え盛るような創作欲として爆発させていくんだけど、そうした創作欲が客観的に見ると「黒歴史」的な強烈な恥ずかしさも生む、という生々しい点もしっかり描かれていて、それがレッサーパンダに変身する遠因にもなっている。 

そこには、ドミー・シー監督のリアルな創作遍歴も反映されているはず。彼女が若い時に二次創作的な活動をめっちゃ活発にしていたことが、同じくDisney+のドキュメンタリー『レッサーパンダを抱きしめて』で語られる。「作りたい、恥ずかしい、でも止められない!」という、喜びや戸惑いや怒りや性が織り混ざった強烈なうねりのような情念が創作の初期衝動になっていることは、監督のみならず多くのクリエイターが同意することだろう。(私も漫画とかイラストとか発表し始めたきっかけは二次創作なので共感することしきりだった。)そうした様々な寓意が込められたレッサーパンダと、最後にメイメイがどう向き合うのかも、すごく好きな着地だったのでぜひ確かめてほしい。

『私ときどきレッサーパンダ』、女性による女性レペゼンという観点からも、メイメイや友達など女の子たちのキャラデザは見事の一言。(『ミラベルと魔法だらけの家』でも凄かったけど)いわゆる「美少女」的なテンプレを崩してリアリティを確保した上で、キャラクターをとんでもなくイキイキと魅力的に見せる技術、海外アニメの一流どころは、もはや凄まじい水準に達してるな…と震えてしまう。地味に中年女性ズ&おばあちゃまもリアリティと妙なカッコよさを両立した造形で良かった。
ひるがえって、一定の「美しさ」の記号の範疇におさまる女性キャラしか描かれなくなっている日本のアニメ界は、本当にこのままで良いのかとも正直思わざるをえなかった。まぁディズニー/ピクサーなんて世界屈指の天才クリエイター集団だからあまり比べても虚しくなるだけかもだが、(国の文化ごとの単位としても、その辺の野良クリエイターとしても)学ぶべきことはものすごく多いと感じる。

アートワークもどう作ってるのか見当もつかないほど秀逸で、アートブックがほしくなった。現代のピクサー的な丸っこい3D表現と、温かいパステルカラーで平面的なタッチの色彩世界を接続する…という離れ業で、ディズニーの3D作品群(最新だと『ミラベル』など)ともまた全く違う味わいを出してる。何気にスパイダーバースに匹敵するくらい革新的なのでは?と思う。この辺は詳しい人の考察も聞きたい。

『私ときどきレッサーパンダ』、動物好きのくせに(映画全体が良すぎて)逆に言及し忘れそうだが、もっふもふ動物アニメとしても最高だった! 「感情が昂ると巨大動物に変身する」というシンプルな発想から、とにかく楽しくて面白いアイディアを満載していて全く飽きない。レッサーパンダという動物は中国など一部の地域にしか生息しないが、だからこその(特定地域や文化に根付いた)神秘性を、こうした形で生かすのか〜という感心ポイントも。
動物変身アニメ映画といえば最近『ウルフウォーカー』という大傑作があったが、すぐにまた違う意味での傑作が出てくれて嬉しい。(ただ、よく考えてみると『レッサーパンダ』と『ウルフウォーカー』の動物変身、社会の抑圧から女性が解放される様を動物変身で表してるという点で、意外と近い意味合いがある気もしてきた。)
終盤とかもはや動物映画っていうか思いっきり「○○映画」だし、あまりにド派手なクライマックスは「そこまでやってくれるとは!」と感動しちゃった。作り手の「映画館に来てくれてありがとね!!」という特盛サービス精神がひしひし伝わってきて、ほんとに…ほんとにほんとに…映画館で観たかった……ディズニーめ。

不満ついでに付け加えると、『私ときどきレッサーパンダ』が文句なしの傑作であるからこそ、なおさらディズニーの企業としての不誠実さに対する憤懣は増していくばかり。例えばピクサーのクリエイター陣に対して、ディズニーが同性愛的な描写を消すよう「検閲」していた…という酷い告発もあったばかりだし。ドキュメンタリーによると主要製作陣には同性愛者の方もいたわけで、そうした方々の気持ちを思うと心が暗くなる。
実際『レッサーパンダ』でも、あのゴスっぽい友達が他の女の子と気が合うくだりとか、「ここは作り手も本当ならセクシャルマイノリティ描写に繋げたかったのでは…?」という箇所も見られた。(まぁ本作ではどの女の子も男子アイドル大好きという共通点があるから、ヘテロセクシャルな描写に傾きがちなのは必然的ではあるけど、セクシャリティはまた別の話というか本来「それはそれ」なわけで。)
そうした明確なマイノリティ描写があれば、女性による女性レペゼン映画として、さらに高みへと達していたはずなのに、優秀なクリエイターの足を引っ張るディズニーほんと腹立つな!!と巨大レッサーパンダに変身して何もかも破壊したくなるが、そうすると本作の真摯なテーマを裏切ることになってしまうので、(怒りの情念はうちに秘めつつも)本作の素晴らしさを胸に抱えてしんどい世間を生きていこうと思う…。今ディズニー課金したくねえ〜っていう人も多いかもだけど(わかる)、観られる人はほんと観たほうがいいですよ。なるべく大画面で劇場に近い環境で観てね。だいぶ長文になってしまったので終わり。

Twitter感想リンク。

カピバラ合戦かるぴんちょ!カピバラ図解

アルゼンチンの閉ざされた"富裕層の楽園"に「招かれざる客」が大乱入!それはなんと…カピバラ!?という動物事件を図解しました。住民を困らせるカピバラたちですが、なぜか人々の喝采を集めてもいるのだとか…。その背景には"楽園"の影の部分があったのです。(Twitterにあげたイラストですが、ブログ更新忘れてました。あるある)

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LINEスタンプ『ゆかいないきもの超スタンプ』2セット同時発売!

新刊『ゆかいないきもの超図鑑』がウワーッと超発売した記念で、本に登場する"いきもの"たちのLINEスタンプを作りました。(大ボリュームにつき)史上初の2セット同時発売です!お好きな方を選ぶんじゃ!(または両方ゲットじゃ)

store.line.me

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最初1セットにしようとして「どうしても入り切らない〜」と悩んでいたのですが、べつに2つ同時に出せばいいのか…と天啓を得て作りました。ぜひ楽しく使ってね。

祝スーパー猫の日!マヌルネコ図解

本日2022年2月22日はただの「猫の日」ではなく2が6つも並ぶ「スーパー猫の日」らしいです。(前回の1222年2月22日は鎌倉時代だったから800年ぶりらしい。)そのスーパーっぷりを祝し、もっふもふネコ界のエース「マヌルネコ」を図解しました。もっふもふ毛皮はダテじゃなく、極寒と酷暑のシビアな自然を生き抜く(文字通り)ロックなネコなのです。ネコ科の多様性に思いを馳せながら、次は100年後の2222年2月22日を待ち焦がれましょう。

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参考文献や映像など。
本『マヌルネコ』。マヌルネコのかわいい写真や、基本的な生態などがのっているマヌルネコファン必携の一冊。

https://www.amazon.co.jp/dp/B07MG43VGG/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

ドキュメンタリー『モンゴル 大平原 珍獣マヌルネコ 狩りの“妖術”を見た』。NHKの「ワイルドライフ」シリーズの一作。マヌルネコの狩りや子育てなど、まず日常では見られない貴重なシーンが盛りだくさんの充実したドキュメンタリーです。

www.nhk-ondemand.jp

せっかくスーパー猫の日なので、いわゆるネコ(イエネコ)以外の多種多様な野生ネコたちについてもぜひ調べたり愛でたりしてみてください。ニャー