- 映画『THE COCKPIT』みた。ユーロスペース、1500円。エキサイティングかつ愛おしい映画だった。また年間ベスト級が来た。たいへん。
- ざっくり内容を言うと、ヒップホップの楽曲ができていく過程を追ったドキュメンタリー映画。と言っても堅苦しいものではない。キャッキャしてて楽しそうで、かつリアルな創作の「現場」を楽しむ作品。時間も60分とコンパクト。鑑賞中あまりに心地よくて、3時間くらい観ていたくなる。
- この映画の存在を全く知らなかったのだが、今日会った知人がゲキ押ししており、さらに今夜が最終日だったので、あわてて劇場へ向かった。
- それにしても混んでいた…!ユーロスペースが一杯になるとは。大人気じゃん。集まった観客にも不思議な熱気があって、とても良い雰囲気。監督の舞台挨拶なんかもあり、得した気持ち。
- 映画が始まる。舞台はあるアパートの一室。そこにいるのはラッパー風の若者たち(ちょっと冴えない感じが愛らしい)。目の前には、サンプラー、ターンテーブル、キーボードといったヒップホップの必須アイテムが並ぶ。曲作りが始まる。
- まず、「トラック」という、歌詞をのせる基盤となる音楽を作る。好きなレコードを選び、色々な音を「サンプリング」して組み合わせていく。何の変哲もない曲の一部が、切り取られ、変形され、歪められ、段々「トラック」としてブラッシュアップされていく。そして試行錯誤の過程で繰り返される音が生み出すグルーヴ感。ああでもない、こうでもない、の連なりにずっと浸っていたくなる。
- やっとトラックが完成。続いて、歌詞(リリック)を考える。その過程でなぜかスーパーボールを用いた謎のゲームを考案し、熱中し始める。フリーダムさに笑う。倍速「雪やこんこん」にも爆笑。ちょいちょい挟まる小ネタのリズムとキレの良さはやはりラッパーならでは?
- そしてレコーディング。またもひたすらトライアル&エラー。言い淀み、詰まり、噛み、言い間違え、また最初から録り直し、その過程を生のまま見せる。しかし不思議とウンザリはしない、心地よい。何より彼らがとっても楽しそうで、かつ熱いからだろう。アパートの一室での密かな熱い試行錯誤が生み出すグルーヴ感、再び。
- そして訪れる完成の時。なだれこむようにエンドクレジットへ。車窓から映し出される彼らの住む町並み。もちろんかかるのは、映画の中で作っていた曲だ。なんだか感慨深い。
- もっといくらでも語れるのだが、そろそろ電車が着くので今日はこの辺で。とにかく素晴らしい「創作映画」だった。まさに「コックピット」みたいになったアパートの一室から、広いユニバースに向けて楽しく曲作りに励む彼らの姿を見れば、(特に何か物作りをしている人は)きっと勇気が出ることでしょう。ヒップホップな人達への、親近感と敬意も湧くでしょう。公開は一旦今日で終わりだけど、この人気に応えて、7月にリバイバルするもよう。ぜひぜひめっちゃおすすめですよ。YO。