沼の見える街

ぬまがさワタリのブログです。すてきな生きもの&映画とかカルチャー。

愛と復讐と悲しみとひつじ

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  • 作品自体はすごく面白かったから本当はお絵描きしたかったんだけど、何となくタイミングを失ってしまった映画が複数あったので、いっそ一枚にまとめてみた。適当にチョイスして描いたわりに、ワケありな3人(?)の珍道中っぽくなってけっこう気に入ってる。ちょっとこのトリオで漫画にしてみたいくらい。愛する家族を皆殺しにされ復讐を誓ったガンマンと、彼の後ろをなぜかついてくるカナシミと、なんとなく巻き込まれたムードメーカーの頭脳派ひつじ。なんか良くないですか。……映画化しないかな(ぜんぶ映画だろ)。
  • 実際この3本が、今んとこ2015年後半のベスト3でしょうか。ってまだ2ヶ月もたってないけども。特に『悪党に粛清を』は年間ベスト級。現状ベスト1の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』ともけっこう共通点が多いと思う。…とか言うと「ま〜たマッドマックス脳の発作か…」と思われるかも知れないけど、ホントに。まずロケ地がアフリカの砂漠(荒野)でしょ。極力セリフにたよらない非言語的なストーリーテリングでしょ。敵ボスの側近で、重要な身体器官の一部を失っていて(かたや左腕かたや舌)、ボスを裏切って脱走をはかるヒロインでしょ。うん…すぐに3つも上がるということは、すなわち「完全に一致」ということですね。『悪党に粛清を』は『マッドマックス』であると正式に認めます。この前『ひつじのショーン』もマッドマックスの続編だと認定したし、『インサイド・ヘッド』もほら…あ、「イカリ」というキャラが出てくるので、すなわち怒りのデス・ロードってことですよね。なので、なんだかんだ上のイラストは『マッドマックス』のキャラの集合絵ということになりました。私は何を言ってるんだろう。そろそろ寝よう。
  • というわけでこの辺で…。まだお絵描きできてない作品では、『フレンチアルプスで起きたこと』も最高でしたね…。ではまた。

翻訳とコスパ

  • 今日も延々と翻訳をしていたが、ひとつ気づいたことがある。それは「お金つかわねえ…」ということだ。たとえば何かをインプットするにしても、映画を観たり本を読んだり漫画を読んだりすれば、その都度お金を使う。もちろん使わないで済むインプットもあるが、ある程度の手ごたえ(歯ごたえ?食べごたえ?)のある情報を取り入れようとすれば、やはりお金を払うことになる。しかし「翻訳」という情報摂取の方法は、あらゆるインプットの中でもぶっちぎりで時間がかかると言っていい。
  • 2000円くらいの和書を一冊買って読むのにかかる時間はせいぜい3〜4時間くらいだろうが、これが同じ分量の洋書でイチイチ辞書を引いて翻訳しながら読むとなると、かかる時間は10倍ではすまない(もちろん語学力によりけりだろうけど)。だが逆に言えば、翻訳を「読書」という「娯楽」の一環としてとらえると、そのコストパフォーマンスは普通に本を読むことの10倍ということになる。同じお金で10倍の時間「楽しめる」わけだから…。
  • とはいえ、その「楽しさ」の質というものが全然違うだろうから、「コスパ」なんて言葉に当てはめることはできないんだけど。でもまあ、ふと「えらいコスパ高いよな、翻訳…」と思ったので。現に私、ここ最近翻訳ばっかしてるせいで全然読書にお金を使ってないしな…。今月唯一買った本は『マッドマックス 怒りのデスロード』のメイキング本。この状況もちょっとどうかと思うけども…。
  • まあフォロー的に言っておけば、「翻訳は最も徹底的な読書」という言葉は、なるほど、そりゃあそうだろうなと思う。(私みたいな未熟者ではなくて)一流の翻訳者になると、ヘタするとその文章を筆者よりもちゃんと読んでいる可能性がある。少なくとも、書評家や批評家が読みの精度で翻訳者に太刀打ちすることはまず不可能だと思う。単純に、その本を「読むこと」にかけている時間がまったく違うから。とはいえ、有名な翻訳者なんて数えるほどしかいないし、やはり裏方なので今まであんまり光は当たってこなかった。でも最近「翻訳大賞」なんていうTwitter発の賞も盛り上がったようで、いい流れが生まれつつあるのかな〜と思うとちょっと嬉しい。まあ、情けないことに受賞作とか全然読めてないんですけどね…。神保町の本屋さん探したのに全然置いてないんだもの。映画もいいけど、本も読まんとな…。
  • あと、デジタルで漫画を描くのがいかに趣味としてのコスパが高いかという話をしようと思ってたんだけど、今日はもういいや。ではまた。

『野火』を語るナイト

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  • 塚本晋也監督の映画『野火』を先週見たので、忘れないうちに感想を書いとこうかなと思います。渋谷ユーロスペース、1400円。
  • イラストは『野火』本編っていうより単なる制作風景ですけど…。兵士が映画を撮る話だと誤解されたらどうしよう(それはそれで見たい)。どっかの特集ページで、ジャングルの中で主役の兵士に扮しながらカメラを担いでいる塚本監督の姿を見つけて、「なんかカッコイイ」と思ったので真似っこさせていただきました。
  • 軽く説明しておくと、大岡昇平の小説『野火』を、カルト映画の金字塔『鉄男』の塚本晋也監督がまさかの映画化。第二次世界大戦の末期、フィリピンのレイテ島で、シビアすぎる苦渋の生活を強いられた日本兵の姿を容赦なく描きます。『野火』はすでに市川崑が映画化していますが、今回そっちはあんまり関係なくて、あくまで塚本監督自身が小説を読んで得たインスピレーションに基づいた映画化とのこと。
  • さて塚本版『野火』ですが、公開規模がとても小さいにもかかわらず、すでに映画ファンの間でも大変な話題になっていますね(次回のタマフルの課題作品にもなってました)。映画『野火』の制作は、監督が近年ずっと抱いていたという危機感から出発しています。「戦争はロマンチックなものではなく、ただひたすら悲惨な生き地獄である」という当然といえば当然の認識が、だんだん失われかけているのではないか。戦場の記憶を語り継ぐことのできる世代がいなくなり、そして今再びキナ臭い空気が濃くなっている。今を逃せばもう、こういう映画は作れなくなってしまうのではないか。そういった危機感や切実な焦りが、塚本監督を突き動かしていたようです。
  • でもこのご時世、「戦争の悲惨さ」をド直球で描いた作品となると、出資してくれる人が誰もいない。特攻していく兵士を美しく描いた「号泣必至の感動作」ならともかく、陰惨で汚くてグロい「リアルな戦争映画」なんかに集まるお金は永遠にゼロというわけです。
  • なので塚本監督は自分で「海獣シアター」というレーベルを立ち上げ、それどころか自分自身で主演をつとめてまで、なんとか『野火』を自主制作映画として世に送り出したのでした。まさしく渾身の一本なのです。
  • 主人公は、結核を患う田村一等兵。「病人は足手まといだ」と上官に罵られて部隊から追い払われ、野戦病院に行ってこいと命じられます。まあ病院といってもジャングルの中にある超ボロい小屋にすぎないんですが、そっちはそっちで死にかけた血まみれの兵士がゴロゴロしていて、田村を寝かせるスペースも食料もない。そんなわけで、病院も追い払われてしまう。部隊と病院を往復する田村の姿は悲惨であると同時に、どこか滑稽で、カットのつなぎ方とかでちょっと笑えるシーンに仕立てられているのが面白い。
  • この『野火』という作品、非常に暗く陰惨な映画である一方で、同時に(ユーモアというよりは)「滑稽さ」が全編を貫いている点がとてもユニーク。たとえば、小指くらいのサイズのちっぽけな芋を、大の大人が貴重な食料として取り合ったり、物々交換の材料として真剣に交渉したりする姿が幾度も描かれます。はっきり言って滑稽きわまりないのですが、だからこそいっそう悲惨さが際立つ。戦場における「絆」だの「連帯」だの「男らしさ」だの、そうした幻想に対して徹底的に冷水をぶっかけまくるのです。
  • ちょっと脱線しますが、この映画を見て、吉本隆明という思想家(吉本ばななのお父さん)にまつわるエピソードを思い出しました。この吉本氏、子どもの頃はけっこうな軍国少年で、「おれも戦争に行って、銃を撃ちまくって華々しく死にたい」とか父親に言ったそうなんですね。すると戦争経験者の父親が冷めた口調で、「いや、戦争ってのはそんな勇ましいもんじゃないよ。ドンパチで死ぬ人なんかあんまりいなくて、むしろ腹を壊して下痢のしすぎで脱水症状で死んだりとか、塹壕に入ってたら砂がどさっと落ちてきて窒息死とか、そんなんばっかりだよ」と言い放ったそうです。これに吉本少年はびっくりして、一気に気持ちが冷めて、もう「戦争行きたい」なんて二度と思わなくなった…と、そういうエピソードを読んだことがあります。『野火』のテーマも、吉本父が子どもに伝えたかったことによく似ているんじゃないかな〜とふと思いました。
  • 話を映画に戻します。誰もが言うことでしょうが、本作の「残酷描写」の容赦なさはぶっちぎりで今年の邦画ナンバー1でしょう。とくに中盤、暗闇のなかを進む日本兵たちを待ち受ける運命のむごたらしさといったら、まさしく阿鼻叫喚の地獄絵図! この辺はもう『鉄男』を撮った塚本監督の面目躍如というべきか、特撮で鍛えた特殊メイクの技術がフルに生かされています。不謹慎ながら、あまりにグロすぎてちょっと笑ってしまいましたよ…。
  • 意外というべきか本作、「戦争反対!」とかの正しいメッセージを声高に叫ぶ映画ではないんですよね。徹底的な悲惨さのなかにも先述したような「滑稽さ」が含まれているので、言ってしまえば一種の「スプラッタムービー」としても楽しめるようにもなっている。この辺が海外で評価が割れたりする理由でもあるとは思うんですが、塚本監督は(限られた予算の中で)自分の特殊技能を「まずは見てもらう」ためのフック、そして「強烈なリアリティを生む」ための武器として正面から使ったわけで、そこを批判するのはおかしい。「怖いもの見たさ」みたいなノリで本作を観に行くの、全然アリだと思います。映画って本来そういうもんですし。
  • 単に「サスペンス」として見ても凄く面白い映画です。主人公が教会に隠れていたら地元民の男女二人組がやってきて、「撃つか?撃たないか?」という選択を迫られる序盤のシーンなんかも、じりじりと緊張と狂気がピークに向かっていく過程が描かれ、たいへんな緊迫感にあふれていました。
  • そして、残酷で陰惨な描写の中で、突然鮮やかに迫ってくる美しい自然。過酷な物語における一服の清涼剤であると同時に、よりいっそう人間の無力さを引き立てるシビアな舞台装置でもあります。だからある意味、本作、レイテ島の「観光」映画でもあるんですよね。観光というか地獄めぐりというか…。
  • あ、2000字を超えてしまった…。後半のリリー・フランキーたちとの「肉」をめぐるやりとりとか、どんどん(大岡昇平とも親交の深かった)武田泰淳の『ひかりごけ』的なカーニバル方面にドライブしていくんですけど、今日はちょっと語りきれないので一旦ここまで。なんにせよ自主制作かつ小規模公開にもかかわらず、これほどまでに話題になっているのは、監督の命がけの姿勢がちゃんと観客に伝わっているということだと思います。「戦争、マジで嫌だな…」とつくづく感じましたよ。「戦争に行きたくない等と言う若者は身勝手」とか抜かして炎上した議員さんも、ぜひ見たらいいんじゃないでしょうか。百田先生との勉強会よりずっとタメになると思いますよ。
  • 東京では今のところユーロスペースでしかやってませんが、行ける方はぜひ…と書こうとしたら「立川シネマシティ」でもやってるじゃん!「さっすが立川シネマシティ!並みの小劇場にはできないことを平然とやってのける!そこに痺れるッ!憧れるゥ!」って感じですね。ではまた。

『日本のいちばん長い日』ふたたび

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  • (前回の記事はコチラ→『日本のいちばん長い日』みた。 - 沼の見える街
  • 終戦記念日は終わっちゃいましたが、なんとなく『日本のいちばん長い日』のお絵描きがしたくなったので、大急ぎで描いてみました。左から鈴木貫太郎山崎努)、昭和天皇本木雅弘)、阿南陸軍大臣(役所広司)。それにしても昭和天皇のイラストを描く日が来ようとは夢にも思わなかったぜ…。いや、中身はモックンだけども…。
  • 『駆込み女と駆出し男』のときも2枚もイラストを描いてしまいましたが、原田監督の映画って妙にお絵描きしたくなるんですよね。美術や衣装や照明が一流なのはもちろんのこと、俳優の顔面や肉体そのものも含めた絵作りがビシッと決まっていて、映画としてのルックが大変「かっこいい」からだと思う。まったく古臭くない。時代劇や歴史劇を現代に蘇らせるためのアプローチとして、大成功だったのではないでしょうか。
  • ただ、『駆込み女』とのマイナスの(?)共通点は、序盤がスゲーわかりづらいってことですかね…。言葉遣いも難しいし固有名詞や専門用語がポンポコ出てくるし、最初は「誰が何?」って感じになるかもしれません。でも、仮に「よくわからんぞい」と感じても気にせず見続けていれば、物語が進むにつれて各々のキャラが立ってきて、人物の立ち位置や関係性などもだんだんわかってくると思います。とりあえずイラストの三人が実質的なトリプル主人公なので、この顔が画面に出たら注目しとけばいいかと。
  • もっといいのは、早めに劇場に行ってパンフレットを買って、始まるまでに大まかなあらすじを読んじゃうことかも。前にも書きましたがこのパンフ、資料としても読み物としてもめちゃくちゃ充実してるので、間違いなく買って損はないです。下手な雑誌とかより情報量多いくらいだし、820円は安い。『マッドマックス』のパンフも神パンフでしたが、わりとアレに匹敵するような。
  • パンフの中で音楽評論家の鈴木道子さん(鈴木総理の孫)が「劇中曲解説」っていうのをしてまして、これも味わい深く、勉強になりました。本作オリジナルの名場面として、陸軍大臣・阿南が「軍艦マーチ」の流れるラジオを消すと、どこからか英語の歌が聴こえてきて、しばし聴き入ってしまう阿南…という美しいシーンがあるんですね。解説によると、この曲はイギリスのポピュラー歌手ヴェラ・リンの歌う「ウィ・ウィル・ミート・アゲイン(また会いましょう)」という歌だそうです。「戦争が終われば、いつかまた大切な人たちに会える」という歌詞で、兵士たちを慰めるような内容になっている。軍人として「敗戦」という流れに屈しきれずにもがく阿南が、「終戦」を象徴するような音楽につい聞き惚れてしまうという皮肉。そして「戦争が終わった」結果、阿南の人生がどういう顛末を迎えたかを考え合わせると、美しく穏やかな一方で、とてもビターな場面でもあります。ここだけ明らかにトーンが違っていて、ちょっと忘れられないような深い余韻を残すシーンになっていました。
  • 主役3人のことだけでなく、脇を固める松坂桃李堤真一とかについてももっと語りたいのですが、お絵描きもして今日はくたびれたのでこの辺で…。評価も高いですしまだしばらく公開は続くでしょうから、またいずれ折に触れてなんか書きたいと思います。今年の邦画の中でもトップクラスに重要な作品になると思うので、未見の方もあまり構えず一度ご覧になってみてはいかがでしょう。塚本晋也監督の『野火』なんかと比べるのも面白いかも。それではまた。ウィ・ウィル・ミート・アゲイン。つって。

はじめての夏コミ(1日目)

  • なんか昨日のアクセス数が凄いことになってる…。かつてない。最近妙にアクセス数が多かったのは、おそらく『日本のいちばん長い日』と『きららマギカ』の感想がかなり稼いでいたと思うんだけど、昨日の『ダンジョン飯』がそれ以上に読まれてる…。なんだろ。みんな一体どうやってこんな超マイナーなブログにたどり着くんだ…。と思って「ダンジョン飯 2巻」でググったら普通にここが出た。注目度が高い漫画の割に、あんまり感想とかレビューがなかったってことなのかな。わからん。この辺の数字の変動はまったく読めないので、分析してみるとけっこう面白いかもしれない。
  • さて、今日はくたびれたのでさっさと終えよう。というのも夏コミに行ったのである。冬コミは3回ほど行ったことがあるが、夏は初めてだった。「夏はヤバイ」と散々聞いていたので今まで足がすくんでいたのだが、まあ一回くらい行ってみるかと思って行ってみたのだった。目当ての本やサークルがあったわけではなく、まどマギの同人誌とか、もし見かけたら買おうかな〜くらいのノリで。実際、東ホールにたどり着くくらいまでは、「なんだ、たしかに人は多いけど、そこまで過酷でもないじゃん、いい散歩になるかも」くらいに思ってたんですよ。
  • いや〜〜〜…甘かったですね。うん、これは冬とはまったく別物だわ。夏はヤバイ。ホールに入るとすぐにわかるんですが、まず「人の物量」が違う。実質的にどれくらい違うのかはわからないけど、もう塊として密度が違う。しかも、比較的余裕ができるといわれる12時以降に着いたのにアレだもんな。午前中とかどういうことになってるの…?動けるの?
  • そして、人の数以上に驚いたのが、「空気そのもの」がガッシガシ体力を削ってくることですね。あの、ゲームでよくあるやつ。溶岩のステージとかの、そこにいるだけで体力が下がっていくみたいな仕掛け。これが何より夏コミを過酷にしていると思う。少なくとも冬コミにそんな仕掛けはなかった…。
  • 例年よりは涼しめなくらいであろう日だったし、一応天井の高い巨大なホールで換気もされてるし、「気温」自体はそこまで高くなかったと思うんですが、そこにいるだけでダラッダラ汗が出てくる不思議。やっぱり「湿度」が原因なんでしょうか。それとも麻痺しているだけで普通に気温がすごく高かったんでしょうか。ちょっと日常ではありえない感じの汗のかき方をしましたよ。こりゃ、持ち物リストの最初に必ず「水」が上がるのがよくわかるわ。水分をちゃんととらないと、マジで、死んでもおかしくないと思う。お金なんてなくしてもいいので、とにかく水だけは手放しませぬよう…。命は後からメロンブックスで買うわけにはいきませんので。
  • とまあ、そんな苦労をしてまで夏コミに行って、体力微減トラップを乗り越えてまでホールを渡り歩いて、どんな収穫があったのか?と言われると…すみません、今回は特に何も買いませんでした…。あ、もっていった3DSが「すれちがい」しまくったため、ついに「すれちがいフィッシング」をクリアできたのが収穫といえば収穫ですが…。会場では1円も使うことなく帰ってきました。なんじゃそりゃって感じですが…。
  • 一応東ホールも西ホールもざっと一周したと思うんですが、まどマギの同人誌は見当たりませんでしたね。pixivを見ても明日か明後日に参加する人が多いようなので、やっぱり今日はそもそも人がいなかったのかな。……だったら明日か明後日に行けばよかったんじゃ…。なぜ今日行ったし…。いや、うろうろしてれば何かしらは見つかると思ってたんですよね。この辺も甘かった。空気トラップもあることだし、無目的にうろうろしてないで、目当てのところにサッと行ってサッと撤収というのがいちばん賢い夏コミの歩き方なのかも。
  • 全体の印象としては、もちろん艦これとか東方とかはいっぱいありましたけど、「きっとこういうのもあるんだろうな」と事前に想像してた「メジャーなジャンル」をあんまり見かけなくてちょっと驚きました。それこそアイマスとか、進撃の巨人とか、ジャンプの漫画とか。まあ日にちが違ったんでしょうが、こういうのはさすがに毎日やってるのかと思ってた。ユーフォも本があったら欲しかったのにな〜。夏紀×優子とか。まあしょうがないです。なんかコミケの根本的なルールや法則をまだ私がよくわかってないんでしょう。一期一会(雑なまとめ)。
  • なんだかんだけっこう書いちゃいました。あ、唯一のまどマギ関連の収穫は、駅前のローソンの前にある5人のパネルでした。これがまたえらくかわいくて、さらに集合絵としての完成度も高くて、ほれぼれしました。去年の冬コミの冬服の5人パネルもめちゃくちゃ可愛くて素晴らしかったんですが(いまだにアレが公式版権絵の最高傑作だと思う)、今回も同じくらいグレート。全く違うモチーフなのに、「手掛けてる人が同じ」感がすごかったです。
  • …というわけで、くたくたのはずなのに、帰ってからすぐそのパネルから妄想を膨らませた漫画を描き始めちゃってですね…気づいたら真夜中になってました。完成したらTwitterかなんかにあげようと思うのでよかったら見てね。そんな感じです。眠い。むしろ明日からが本番!みたいな方も多いと思うので、水分にだけは注意して思い切りエンジョイしてくださいませ。それではまた。

『ダンジョン飯』(2巻)読んだ!

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  • 九井諒子『ダンジョン飯』2巻が発売してたので、お絵描きついでに感想を書こうと思います。すごく…面白かったです…。
  • すでに大評判の作品なので(1巻のAmazonレビューがすごいことになってる…)あらすじとか不要かもしれませんが、一応簡単に説明しておくと、主人公一行がダンジョンに潜って、ドラゴンに食べられちゃった妹(左上)を助けに行くお話です。ダンジョンの中では食料が何より重要なわけですが、お金も時間もない主人公たちは、なんと食料をダンジョンで「現地調達」することに! 
  • 巨大サソリだのスライムだの人食い植物だの動くヨロイ(!?)だのといった、ダンジョン内の食べられそうなモンスターや食材をゲットしては調理する主人公一行。そして毎回、意外にも美味しそうな「ダンジョン飯」が完成するのであった!…という流れで、(基本)一話完結の話がゆるやかにつながっている漫画です。ゲームにもファンタジーにも食にも一切興味がない人以外は全員楽しめると思います。説明はこれくらいにして、さっそく2巻の各話感想を。
  • 第8話「キャベツ煮」。今回はモンスターを食べるわけではないですが、ゴーレムを畑にして野菜を作るというぶっ飛んだアイディアにいきなりやられました。スポットライトが当たるのはドワーフ族の超有能な仲間・センシ。彼の「食」に対する、というより「生き方」に対する思想がここで語られます。一見キワモノなグルメ漫画に見えて、実は「食」を通じた「生きること全般」という普遍的な問題に踏み込んでいるのが本作の見どころ。とはいえ基本やってることはダンジョン探索とゲテモノ食いなので、説教くさくならないところが素敵です。
  • 第9話『オーク』。これまた短いながらも、「人種的な対立」という深いテーマを読み取ることができるお話。今やすっかり乱暴者のイメージが定着してしまったオークのイメージを、巧みに利用してひっくり返してきます。過去の血塗られた争いの歴史を振り返っても、オークに言わせれば、乱暴で残酷で野蛮なのは人間やエルフのほう。美人のエルフ族・マルシルが、オークからは「野蛮な顔」とか言われてるのも象徴的です。マルシルとオークは「歴史的認識」の相違によって対立しますが、根が深い問題であるため根本的な和解は無理そう…。それでも「食」をきっかけにその対立が少しだけ和らぎます。「食」こそがお互いの文化をリスペクトするための最初の一歩なのではないか、という仄かな希望を感じさせるお話でした。ピリ辛チキンを食べるマルシルかわいい。
  • 第10話『おやつ』。序盤からちゃんとキャラを立ててきた人たちがまさかの即・全滅!バジリスクの話もですが、こういうところ、わりとしっかりダンジョンの過酷さを描いてますよね本作は…。そしてまさかの虫!あ、イラストで主人公(右)が食ってるのは宝虫ジャムパンです。カラフルなジャムって何かこう…。
  • 第11話『ソルベ』。2巻でいちばん好きな話かも。回想に出てきた妹のファリン、かわいいし良い子だな〜。ファリンちゃんマジ天使。(実際その悲しげな微笑みから、短編集『龍の学校は山の上』の名作「進学天使」のあの子を連想。)でもファリンちゃん、今頃ドラゴンの胃の中でだいぶ消化されているのではなかろうか。今回も(幻影とはいえ)顔面ぶん殴られてたし、九井先生、天使に厳しいですね…。あと今回、とにかくロジックが丁寧で見事でした。幽霊は物をすり抜ける→ゆえに瓶に入れたままでも聖水は幽霊に効く→さらに幽霊が触れたものは凍る→したがって聖水がシャーベットになる、という流れ、ぶっ飛んではいるけど論理がひとつも破綻してなくて、実に美しい。オチも妙にリアルで好きです。
  • 第12話『宮廷料理』。ついに概念を食べようとしはじめた…。「動く絵」という西洋ファンタジーお約束の怪異を、こんな風に「グルメ」に絡めてくるとは。「いやあれは完全に雰囲気の問題だった」にスゴイ笑いました。あと巻末のおまけが妙に怖い。
  • 第13話『塩茹で』。チルチャック回ですね。ミミック=巨大ヤドカリという発想も面白い(ピクミンの中ボスみたいだな…)。眠くて目をショボショボさせているマルシルさんがすごく可愛いです…。ていうかマルシル×チルチャックはかなりイイですね…。明日のコミケで「マルチル」の同人誌が売っていないかな(あながち無いとも言い切れない)。
  • 第14話『水棲馬(ケルビー)』。これまでどんな時も冷静沈着だったセンシが、信じていた水棲馬に裏切られ、はじめて深い動揺を見せます。この話で2巻は終わりですが、最初の2話(ゴーレム回とオーク回)とテーマが強く呼応し合っていると思いました。ゴーレム回では「このダンジョン世界で自然とともに生きていく」というセンシの思想が、そしてオーク回の「自分とは異なる他者ともわかりあえるかもしれない」という明るい兆しが描かれましたよね。
  • しかしそれに対して、この第14話の「自然の中の絶対的な他者が牙をむく」という事態が、主人公たちへのとても苦いカウンターの一撃になっています。だからこそセンシは水棲馬に裏切られた後、自分の信じていた「確固たる世界」が壊れてしまったように感じてショックを受けたのでしょう。それでも仲間との出会いや(哀しいことも含めた)新しい出来事を通して、センシの世界も壊れ、広がり、変わっていく。そして「世界が変わっていく」ことは「すでに確固たる世界を持っている」ことよりも、ひょっとすると素敵なことなのかもしれない。マルシルに水棲馬石鹸でひげを洗ってもらってフワッフワになり、忌み嫌っていた魔法の力を借りて気持ちよさそうに水の上を進んでいく新たなセンシの姿から、そんなメッセージを受け取りました。(穿ち過ぎかもですが。)
  • 長いのでもう終わりますが、2巻も最高に面白かったです。まだ語り足りないくらいですが、明日は初めての夏コミに挑むつもりなので早く寝ます。あんまり暑かったらくじけてやめるかもしれないけど…。ではまた。

ワートリすげー!ジャンプ感想(37号)

  • ツイッターでもちょっと言ったけど、今週は何を差し置いても『ワールドトリガー』が凄かったので、順番とか無視してワートリから書こうと思います。

ーーーー以下『ワールドトリガー』ネタバレ注意ーーーー

  • そんなわけで、まさか、まさかの修死亡…!いや死んでないけど退場…!四つ巴バトル開始、わずか2週目にして主人公をバッサリ切るとは。この展開はさすがに予想しておらず、度肝を抜かれました。これは凄い。
  • だってあれだけバトル前に、少年漫画の「お約束」的な修行シーンをやったんだから、勝てるかはともかく、今回は修がどのように成長を遂げるのかを描くのかな、とか思いますよね普通…!そう思った結果がこれだよ。サツバツ!慈悲はない!!…漫画のみならず映画とかでも「主人公の甘やかし」が蔓延している中で、どんだけ主人公を「甘やかさない」作品なんだよって感じ。硬派だ…。
  • 今回無情にも修をブチ抜いた東さん、「実力者≒人格者」という葦原作品イズムを体現するようなキャラだったわけですが、ここにきてその恐るべき強さをこれ以上ないほど印象づけました。主人公を遠距離から一撃粉砕だもんな…そりゃ印象的だよ…。主人公が完膚なきまでのかませ要因って斬新っすね…。
  • とはいえ今回、単にビックリ展開だから凄いっていうんじゃなくて、一見お約束を破っているようで、実は作中の「強さ」のルールに忠実に従っているだけというのが凄いんですよね。にもかかわらず話運びの巧妙さによって予想外の衝撃を読者に与え、さらに「実力者の強さ」をきっちり示すことで作品世界の奥行きをグッと深めることに成功してる。素晴らしい作劇。葦原先生が丁寧かつ堅実に積み上げてきたものが、今回見事に花開いたということでしょう。めちゃくちゃ面白かったです。でも続きどうすんだコレ…。今週は合併号の上に次回休載ということで、だいぶ待たされるな〜。まあ無理されるよりは全然いいですね。
  • 『ワンピース』。内容は戦後処理って感じで全く興味がわかないんですが、やっぱり表紙の絵はすごくいいな〜。多人数の詰め込みでもごちゃごちゃしすぎずダイナミックにまとめ、色使いもとても綺麗。こりゃ画集も出るわ。先週のカイドウ登場が超面白かったので、ルフィとかレベッカとかどうでもいいのでそっちの動向が早く知りたいです。
  • 暗殺教室』。E組生徒の不気味な動きの演出とか、ハッタリ効いてるよなあ。ラストも(文字通り)ぶっ飛んでてさすが。無理やりイイ話にしましたみたいな『暗殺』にありがちなムードも、今回はバカっぽい爽やかさとして有効に機能。でも殺せんせー抜きでどうすんだろ、宇宙で…。
  • 『背筋をピン!と』。こいつは嫌な奴にちがいない!という立場のキャラがことごとくイイ奴なのが新鮮。無理にクズを出さなくてもちゃんと面白いし。「ムリしてコメントしなくていいわよ」とかスゴイ笑った。いいコマだ。
  • 『僕のヒーローアカデミア』。「個性(能力)自体は大したことないけど体術と執念がスゴくて恐い敵」とか、やっぱ渋いな〜ステインさん。主人公みたいだ…。(スタンド使いで例えようとしたけどちょっと思いつかなかった。リンゴォとか…?違うか。)どんなに優秀だろうが高校生3人ごときにそう後れは取らない、でもスゴイ頑張って運良くコンボが決まれば何とか倒せる…かも!?くらいのこのパワーバランス、素敵ですなあ。
  • 読み切り『クラマの閃』。う、う〜ん…面白くは…ない…。剣道という主題の地味さを補う工夫がほぼゼロだし、天狗うんぬんのハッタリもいまいち効いてないし、倒す敵が嫌な奴って程でもない(別に良い奴でもない)ためカタルシスも特にないし、何を面白がればいいのかよくわかんない…。ていうかやっぱり剣道はもう、ジャンプではやめたほうがいいんじゃないかな…。それこそ川田先生級の中央突破の技術をもった人なら何とかなるのかもしれんけど。あ、でも主人公のデザインは少年漫画離れしてて面白いです。七三か〜。
  • ニセコイ』。よく知らないけどなんかまとめに入ってるんでしょうか。告白シーンには「はいはい」って感想しか抱けませんが、このマリーという子はよく知らないなりにけっこう好きです。かわいくない時の方がかわいい(今回で言うと「ふざけんとってよ…」のとことか)。でも何やら死にそうですね。人が死ぬラブコメには好感が持てるので、がんばってほしい(?)。
  • 『火ノ丸相撲』。スリリングで熱くて超面白い。小関の尻餅、心臓に悪いな…。全盛期の『アイシールド21』を彷彿とさせる緊張感。反則スレスレの手を使わせておきながら、金盛部長のモノローグのおかげで真田さんの格が落ちていないのも見事。それによって小関が(怒りに燃えるとかではなく)逆に自信を増すという流れも上手い。けっこうな実力差があったはずなのに、すでに小関が勝ってもおかしくないムードが生まれている。というか、ほんと、勝ってほしい。読んでて素直にこう思えることが凄いですよ。
  • 『ブラッククローバー』。うん…。テンポがよすぎて逆に間が悪いというか、相当おかしなことになってる漫画だと思います…。主人公を活躍させたいのと、展開を早めたいのはわかるけど、単独行動で飛び出したアスタが勘と勢いだけで即座に敵ボスと遭遇ってさあ…。ラストはもう笑うしかない感じ。「あ、今週中に会えちゃうんだ…!?さすがっすね…」っていう。主人公っていうのはすごいんだなあ(棒読み)。ちょっとでいいからワートリの修くんに分けてあげなよ、きみの主人公パワーを…。
  • 『レディ・ジャスティス』。そろそろ打ち切りなのかもしれないけど、えろい目に遭っている時のヒロインの言葉遣いが妙に硬いのが好きです。今回で言うと「このまま裸で行けとでも…?」とか。ちょっとぎこちない台詞回しが真面目な感じを生んでいて、不思議なえろさを醸し出していると思う。あんまり狙ってない感じが良い。今回みたいなノリで最初からずっといってれば、あるいは…。まだ挽回のチャンスもあるのかしら。
  • 今週はこの辺で。ワートリに全部持っていかれたとはいえ、全体的に今週は面白かった気がします。合併号は気合が違うのかな。ではまた。