沼の見える街

ぬまがさワタリのブログです。すてきな生きもの&映画とかカルチャー。

今週の気候ニュース(燃え盛るカナダと燃え盛らない気候変動トピック)

カナダが山火事で大変なことになっている。

www.bbc.com

カナダ「山火事やばすぎ」

トランプ「よし追加関税だ」←マジでこいつ何?

 

災害みたいな大統領はともかく、物理的な災害の話をすると、カナダのオンタリオ州を中心に、約890カ所で火災が燃え広がってしまった。トロントも茶色い煙に包まれている…。

news.ntv.co.jp

もはやW杯なんかどうでもええやろ(サッカー興味ない勢)とか言いそうになるが、決勝の舞台のアメリカ・ニュージャージー州まで煙が届いてるらしい。「外で1時間以上の活動は危険」という警告まで出たという(確実にサッカーだけは無理すぎる…)

気候変動を無視したままでスポーツなんか続けられないよな、とつくづく思う。

ちなみに(こんな記事を読んでる人には不要な注釈かと思うが)近年世界で多発する大規模な森林火災は人為的な気候変動による気温上昇の影響なしにはありえない、というのが大多数の科学者の意見です。英語圏では「気候変動のせいではなく森林管理の不備」とか怪しいデマも流れてるようなので一応日本でもご注意を…(デマに反論する記事↓)

www.theclimatebrink.com

現地から送られてくる映像もこれぞ末法の光景という感じである。気候がめちゃくちゃになったら、マッドマックスみたいな世界になるかも…的なことはよく言われるが、正直マッドマックスでもこんなシーン↓はないんだよな

Kid1, who is both an conductor and engineer for CN and has driven trains through SK wildfires himself, just sent me this video from Ontario. When I tell you they arent paid enough!!! vt.tiktok.com/ZSXkuEadE/

Jules Sherred (he/him) (@geekyjules.julessherred.com) 2026-07-15T02:49:42.928Z

bsky.app

AppleTVの「ロスト・バス」はまさにこんな絵面だったが…(恐ろしい話だけど良い映画なのでぜひ)

tv.apple.com

まだ7月も前半だが、衝撃的な熱波がヨーロッパ大陸もアメリカ大陸も(前の記事参照)日本含むアジアも襲っていることになる。

numagasablog.com

当然、ニュースでも毎日のように気候変動が話題にのぼっていることだろう。燃え盛る炎のような激アツ・トピックになっていないとおかしい。…と思うじゃん?

だがご存じのように、実際は燃え盛ってないし、激アツでもない。むしろ気候変動や気候危機というワードは、猛暑や山火事や気候災害を報じるニュースでさえ、嘘のようにスルーされがちだという。

 

記事「6月の熱波に関する英国メディアの報道のほとんどは、気候危機について触れていなかった。」

www.theguardian.com

「暑いですね〜熱中症に気をつけましょう! 〜完〜」(気候変動については一切触れない)…みたいなニュースは日本あるあるだが、イギリスでも(日本ほどではないと思うが)同種の問題はあるらしい。

約2500本の記事を分析した結果、4分の3が地球温暖化について全く言及なかったと。(ガーディアンは二番目に多かったぜ〜とここぞとばかり主張するガーディアン。まぁ言うだけのことはあって発信が豊富なのでみんなも読みましょう。)

気候変動は政治の問題であると同時に、メディアの問題でもある。各国の一般市民が「もっと気候変動について報じろ」とメディアを突っつかなければいけない。

上の記事で専門家が大事なことを言っている。

最近の猛暑が症状だとすれば、気候変動は病気であり、ネットゼロは薬だ。この関連性に対する一般の理解がこれほど低い現状では、私たち全員にとってより良い未来を築くために、これら3つの概念を結びつけることが不可欠だ。

猛暑:症状
気候変動:病気
ネットゼロ(脱炭素):薬

この三位一体の構図はとても重要。猛暑だけ報じて気候変動を無視するのは、新型コロナウイルスが蔓延した時、「発熱している人が大勢いるそうです!こわいですね〜 完」でニュースを終えるようなものだ。

もっといえば、いまだに脱炭素(再エネ等の具体的な施策)を否定している人は、反ワクチンと同じくらい危険なことを言っている人、と見なされないと本来おかしい。累積的な被害の大きさでいえば反ワクをさらに上回ると思う。

 

日本では近年メガソーラー問題とかが紛糾したのもあり、「再エネ(太陽光/風力)が自然を破壊する」「再エネが動物(鳥など)を傷つける」といった意見を再エネ反対派が振り回すようになって久しい。もちろん無闇な自然破壊が起こらないように適切に規制して進めたほうがいい。ただし「再エネが自然/動物を破壊する!」は要注意ワードでもある。

 

たとえばオーデュボン(米国最大の鳥類協会)の記事「陸上風力発電と鳥類に関する科学的現状」

www.audubon.org

多くの鳥類にとって、風力タービンによる現在の推定死亡率は、個体群レベルに影響を与えるとは考えられていない。

これらの種[タービンと衝突しやすい種]にとって、風力タービンの影響は通常、個体数全体の0.02%未満であり、建物との衝突など、はるかに広範囲に及ぶ他の鳥類の死亡原因と比較すると、著しく低い。

建物との衝突、猫、大気汚染、そして(CO2を排出し続けることで激化する)気候変動の脅威の大きさに比べれば、風力発電が鳥に及ぼす被害は格段に小さいといえる。もちろん被害は極力ゼロに近づけるべきなので、生息地への配慮やタービンの工夫とかしてるのだが、そういうのは無視されがちっていう。

オーデュボン協会の調査では、大気汚染を削減し、地球温暖化の進行を遅らせるための大胆な対策を講じなければ、北米の鳥類の3分の2が絶滅の危機に瀕するとされています。ますます深刻化する異常気象や季節の変化は、すでに生態系を変化させ、種の生存を脅かしています。

「風力が鳥を殺さない、というのは風力推進したい側のプロパガンダでは〜」みたいな意見もよくあるが、鳥の団体であるオーデュボン協会ですら「大胆な対策をとらないことで進む環境問題こそが真のリスク」と言っているとわかる。

野生動物を守りたいという人は、まずは気候変動の取り組みをいかに進めるかを考えてほしいし、あとやっぱ(最近けっこう紛糾しているようだが)ネコの問題に向き合う必要があると思う。

#猫の日 にあえて、生態系にとってのネコの恐ろしさを周知したい。とにかくネコは家の中で飼ってほしいし、屋内で快適に生きられるよう人間が十分に配慮してあげてほしい。鳥など野生動物のためにも、ネコ自身のためにも!ネコ好きさん、よろしくお頼み申します。 (『ゆかいないきもの超図鑑』より)

ぬまがさワタリ@『いきものニュース図解』ほか3/19同時発売 (@numagasa.bsky.social) 2024-02-22T06:45:49.678Z

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あと鳥への被害の大きさという点では、(建物や猫と比べて)意外と語られないけど大事なのは「風力発電vs他の発電方法」の比較である。オーデュボンの記事より↓

風力発電以外の電力源も、鳥類にとってより致命的である。2012年の研究では、風力発電プロジェクトでは1ギガワット時あたり0.269羽の鳥が死亡するのに対し、化石燃料プロジェクトでは1ギガワット時あたり5.18羽の鳥が死亡することが明らかになった。これは、設備との衝突(鳥が衝突する可能性のあるエネルギーインフラは風力タービンだけではない)も一因だが、主な原因は化石燃料による環境への影響である。

今めっちゃ使ってる化石燃料発電も設備との衝突や環境破壊によって、再エネをはるかに上回る勢いで鳥を殺しているっていう…。でも「化石燃料が鳥を苦しめてる!」って文脈であまり語られないのは、なかなかの不均衡といえる。

というわけで「再エネが自然を破壊する」という文言は、完全なる嘘ではないが、あまりに多くの事実が意図的に無視されていることが多い文言にもなりやすい。

「再エネが自然を破壊する!」というニュースや意見を次に見かけたら、それを言う人やメディアが、「自然を破壊するあらゆる物」の中でただひとつ再エネだけを叩いている、という可能性に一応気をつけてほしいと思う(こういう人やメディアがすごく多いため)。

まぁやっぱ今「自然が心配」「動物が心配」という人で気候変動を危惧しないという態度はありえないので、そこはインチキ野郎(例:鳥やクジラを気に掛けるのが風力を叩く時だけであるトランプ)を見分けるための最低限の判断ラインにしてほしい。

もちろん適切な開発規制はちゃんとやったほうがいいけど、それは完全に政治サイドの問題なので…。再エネそのものでなく、政治に「ちゃんとやれ」と突っ込む方が有意義だと思う。

 

もうひとつ関連する参考記事↓

「駐車場に設置すればいいのに、なぜ緑地に太陽光パネルを設置するの?」という質問への回答まとめ(ガーディアンの「読者が読者に応える」企画)

www.theguardian.com

・結論:どっちもやれ
・駐車場にパネルを設置するのは良い考えで、進めるべき
・ただし全国規模の発電にはもっと大きな設備が必要
・駐車場の発電所は高さの面でコスト増
・地上の太陽光発電(低コスト)の建設も進めるべき
・いうほど緑地面積も必要ない(ゴルフコースはもっと多い)
・「他の場所に設置できるだろ」というのは、何も建設しないための言い訳に使われることが多い(←これは日本でもあるある)

 

太陽光発電と自然についてちょっと明るいニュースも。

「ミネソタ州の太陽光発電所で、パネルの下に自生する野草の種を蒔いたら、5年間で在来種のミツバチが20倍に増えた」という記事。

www.ecoportal.net

ここはかつて耕作地で、パネルを置いた時はただの整地だったが、雑草を除去した後、ためしに在来種の草や花を植えてみたという。

最初は花もまばらだったが、年を重ねるにつれ、植物が多様化し、やってくる昆虫も多様化し、なんと在来種のミツバチが20倍に増加。

さらにミツバチがフェンスを超え、隣接する農場のダイズの花にも追加の受粉サービスをしてウィンウィン関係になったそうだ。

 

そういえば、こんな話も過去に図解したな(太陽光パネルの羊の放牧を組み合わせたソーラー羊)↓ 

numagasablog.com

再エネと動物が意外と共存しているという話は最近けっこう見かけるのだった。

「ダイバーたちが台湾沖の洋上風力タービン69基を点検したところ、鉄骨内部に生息する86種の生物が発見されたが、それらはこれまで台湾では記録されたことのない種だった。」という記事↓

www.ecoportal.net

研究者たちは、タービンの基礎部分が海洋資源にとって持続的なサンゴ礁生息地として機能していると述べており、かつては自然の岩礁や人工的に作られたサンゴ礁だけが担っていた役割を担っていると指摘している。

人工的な構造物が擬似的なサンゴ礁のように機能する、とはよく聞く話だったりする。

 

自然や動物への理解さえあれば、互いのポテンシャルを引き出す余地はあるということだろう。地球の鍵を握るのは、やはり動物なのかもしれない(結論)

 

ーーー

日本にも猛暑が来てるので、最後にTips的に…

記事「熱は命取りになることもあるが、太陽光そのものはどうだろうか?科学によれば、もっと太陽光を浴びるべきだそうだ。」

www.theguardian.com

日光が肌に当たるとビタミンDが生成されることは以前から知られていましたが、現在、実際には数十種類もの有益な分子が生成されることが分かっています。これらの分子は血圧を下げ、炎症を抑え、エネルギーと覚醒度を高め、睡眠の質を改善し、脳内で天然のエンドルフィンを放出することで気分を良くします。その結果、病気にかかりにくくなり、長寿につながります。

熱中症対策は大事だが、太陽光を恐れ過ぎて吸血鬼になっちゃダメという話…。暑いからっておうちでインターネットばかり見ている人(私)は気をつけよう!

最も多くの日光を浴びた人は、平均よりも少ない日光しか浴びなかった人に比べて、あらゆる原因による死亡率が34%低かったのです。運動、食事、その他の交絡因子を考慮しても、日光を浴びた人は依然として死亡率が17%低かったのです。

夏は直射日光による熱が生命の脅威になるので難しいのだが、光そのものを恐れるのではなく、あくまで暑さ対策に焦点を当てるべきなのだろう。私も夏はつい引きこもりがちで、太陽が沈んでから出歩くというプチ吸血鬼生活を送りがちだから気をつけないとな(なるべく朝早く起きて散歩とかしたい)

長年、「夏は嫌い、暑いから」という認識をうっすら当然視していたが、暑さそのものが嫌いなわけではないのかもしれない、と最近思い始めた。暑さによって引き起こされるストレスフルな空間や不快な体験が嫌いなんだと思う。(例:直射日光と猛暑の中で移動して疲弊させられる、汗臭い人々が密集した場所で過ごさないといけない、など…) 快適な部屋から外に出て、むわっとした熱い空気に体が包まれる感覚そのものは、意外に嫌いではない。むしろ空気や肉体の存在を強く意識させられるので多少の楽しさもある。(外の蒸し暑さは嫌いだけどサウナは好き、という人もいるだろう。) 気候対策と同時に、暑さとの共存も考えていくしかないのだろう

ぬまがさワタリ@『いきものニュース図解』ほか3/19同時発売 (@numagasa.bsky.social) 2026-07-14T11:26:27.222Z

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暑さに気をつけつつ、明るい方を見て(物理)、今年の夏もなんとか生き延びましょう >各位