沼の見える街

ぬまがさワタリのブログです。すてきな生きもの&映画とかカルチャー。

今週の気候ニュース(熱波がヨーロッパもアメリカも気候変動否定論者も襲う)

気候変動否定論者のみんな〜、元気?(←天気の挨拶)

「天気にまつわる挨拶は誰もが同意するので無難」と長らく言われてきたが、「最近暑いですね〜」という何気ない挨拶も、「地球温暖化、なんとか解決しないとですね…」から「ディープステートが宇宙レーザービームで大気を加熱させてるらしいですよ」まで様々な会話に分岐しうるので、あまり無難でもない時代になってしまうのだろうか。

いや、そんな世の中にしてはいけない。個人的な活動として、比較的まっとうと思われるソースの気候変動ニュースを(一時期はTwitterで、最近はBlueskyで)よく発信しているのだが…↓

記事「気候変動を隠蔽するのはもうたくさん。科学者の意見にもっと耳を傾けるべきだ」 トランプにすり寄ったビル・ゲイツが「気候変動の脅威は誇張されている」とか言い出してから半年たったが、世界は早すぎる猛暑に襲われて大勢の人が亡くなっている。 金持ちと違い、科学者は一貫して気候について警告していた。 ゲイツほど有名ではないというだけで、発信を続ける科学者は世界に沢山いる(日本でいうと江守正多先生など)。 今こそ(過剰な影響力をもつ億万長者ではなく)科学者に「直接」耳を傾けるべき時。それが可能な時代なのだから www.climatecoloredgoggles.com/p/climate-hu...

ぬまがさワタリ@『いきものニュース図解』ほか3/19同時発売 (@numagasa.bsky.social) 2026-07-03T04:03:05.322Z

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SNSに書きっぱなしも何なので、書き残しておく必要を多少感じた。

 

そんなわけで今週(ざっくり)の気候ニュースまとめてみる。

まずはこれ。ヨーロッパにただごとでない熱波が襲来。

www.bbc.com

フランスは24日、観測史上最も暑い日となった。イギリスでは6月の最高気温を更新し、スペインでは1日の平均気温の過去最高を記録した。

5月頃のたった2週間で気温が激変し、涼しさ→猛暑へのギアの入り方も半端ではなく、現代の暑さは「慣らし運転」がない。社会も人の心身もこの急激さに適応できていないようだ。

日本では今年は(比較的)梅雨らしい気候だったとはいえ、世界的に6月はもう「夏」だと捉えないと命の危険があるだろう。7・8月に至っては人類が初めて経験する別の季節だと捉えるべき。

なおこの記事を読んでる人に補足する必要はないだろうが、熱波がこれほど過酷なものになったのは、人間が引き起こした気候危機のせいである。

www.cnn.co.jp

6月下旬に欧州を襲い、これまでの記録を塗り替えた今回の猛暑は、数十年前であれば「ほぼ起こり得なかった」とする新たな分析結果が発表された。人間が引き起こした気候危機が「明白な原因である」と指摘している。

科学者らによると、欧州は地球上で最も速いペースで温暖化が進んでいる大陸であり、人類が化石燃料を急速に段階的に廃止しない限り、こうした極端な熱波は今後さらに深刻化し、頻発し、長期化することが予想されるという。

「地球がクソ暑いのは宇宙レーザービームのせいじゃなく、人間が排出した温室効果ガスのせいです。」by科学者

 

痛ましいことに、熱波に襲われたフランスでは40人以上が「溺死」しているということだ。人が涼を求めて水場に集まり、水難事故が増えているということだろう。

cnn.co.jp

この記事もだが、色んなメディアが「猛暑」を視覚的に表す時に、「水場に集う人々」の写真を選ぶのも正直あまり良くないんじゃないかな。こういう報道があふれていることが、水に慣れてない人が迂闊に水に入って溺れる事故の増加にも繋がるんじゃないかと思えてしまって…。

「水に飛び込む人」とか「溶けるアイス」とか「水着のお姉さん」も「猛暑」を表すお決まりの画像なんだが、気候変動という社会問題の本質を覆い隠し、猛暑が何か楽しい夏のイベントであるかのように見せてしまう、という弊害もあると思うし。メディアの「伝え方」も問われる時代ですね。

 

欧州のピンチを表すこんなニュースも。

www.theguardian.com

家が暑すぎて赤ちゃん用にエアコン付きのホテルを借りる事態に…。サムネのエケチェン(赤ちゃんの正式な呼び方)はかわいいが事態は深刻だ。

ロンドンの準高級くらいのホテルでもエアコンないとこは普通にあるので、赤ちゃんとか猛暑に脆弱なメンバーがいる家庭はけっこう生存コスト高いのでは…と心配になる。

 

関連する記事。

「悲しい必然」:数十年にわたる気候変動の警告にもかかわらず、なぜヨーロッパは気温上昇への備えがこれほど不十分なのか?"

www.theguardian.com

ヨーロッパで大勢の人を死に至らしめている現在の猛暑は、2003年に襲来した猛暑を彷彿とさせるという。科学者たちは長い間「2003年のような年が今後もっと増える」と警告してきた。そして事実、その通りになった。

2003年の教訓を活かして進めた対応策のいくつかは功を奏しており、欧州もただ手をこまねいていたわけではない。しかし問題は気候変動によって熱波がますます激化し、長く、より頻繁に発生していること。

気候変動により、ヨーロッパは他のどの大陸よりも速いペースで温暖化が進んでおり、これは局地的な気象パターンと、急速に融解している北極圏に近いことが原因となっている。そして、現在の熱波もその影響の例外ではない。

気候変動問題では「排出量の多い先進国よりも、排出量の少ない発展途上国のほうが深刻な影響をすぐに受ける」というのが一定の常識だったこともあり、少なくとも先進国グループの中でまっさきに苛烈な被害を受けているように見えるのがヨーロッパであるというのは、少し前には予想しづらかった展開かもしれない(まぁ先進国の被害だから報道されやすい、という面もあるが。)日本含め、豊かな国も完全に包囲されつつある…。

先の記事で不穏ながら興味深いくだり。

ちょうど1年前、フランス極右政党の党首であるマリーヌ・ルペンは、同党が新たな風力発電や太陽光発電プロジェクトを阻止しようとしたのと同じ週に、エアコンに関する「壮大な計画」を提唱した。大統領選挙を数ヶ月後に控えたフランスでは、今回の猛暑によって再びこの問題が議論の的となっている。

はっきり言って気候変動を一生否定してきた極右が気候変動対策について今更文句つける筋合いあるのか?と思うし、それに乗っかったインターネットの迂闊な人が「だから脱炭素なんて目指すべきじゃないんだ〜」とか言ってるそうで(いや脱炭素を早く進めないともっと気候がひどくなるだけよby科学者)、全体的に愚かしくて困ってしまうが、ともかく欧州のエアコン事情を巡って微妙に捻れた政治対立が発生中のようだ。

化石燃料業界と癒着して気候変動に否定/懐疑的な極右の人も、要するに「規制を全部とっぱらって存分にエアコン使え(ただし再エネじゃなく化石燃料でね♡)」と言いたいんだろうから手放し賛成はムリだが、欧州の適応速度が気候変化のスピードに追いついていないように見えるのは確かである。

欧州は全体にエアコン普及率が低いことで知られるものの、他地域より拡充している再エネをフル活用してヒートポンプを駆使すれば、エアコンと気候変動対策は両立できるはずなので、気候変動否定論者や極右につけこまれる隙を減らすためにも、何より人命のためにも、ここは急ピッチで空調整備を進めてほしいと思う。

 

ところでエアコンの少ないヨーロッパが熱波で困っている姿を、アメリカの(主に)極右やイーロン・マスクが「エアコンもないのかお前らは(笑)」とか嘲笑していたそうなのだが、熱波は(この人たちと違って)差別主義者ではないので、地球のどこだろうと襲う。そう、アメリカもである。

www.cnn.co.jp

www.yomiuri.co.jp

1週間もしないうちに今度はアメリカが猛暑で大ピンチになっとるやんけ(エアコンがあったところで停電で使えないなら意味ないだろ)

折悪くも(?)7/4は独立記念日でみんな屋外でフィーバーする予定と思われ、ちょうどドラマ『ザ・ピット』シーズン2で独立記念日の日に次々と急患が運び込まれて大変だ!という一日を(15時間リアタイで)見たばかりなので、あれに猛暑が加わるとか、もっとひどいことになるんじゃ…とか勝手にハラハラしてしまうのだった。

「ザ・ピット / ピッツバーグ救急医療室」はマジで傑作↓

video-share.unext.jp

 

熱波は誰のことも差別しない、と教えてくれるこんなニュースもあった。

気候変動否定派が気候変動に襲われたのだ。

www.theguardian.com

ここからが映画『ドント・ルック・アップ』の世界観に非常に近い。ロンドン西部オリンピアの会議会場に集まった数千人の反中絶活動家、多文化主義反対派、気候変動懐疑論者たちは、会場内でうだるような暑さに苦しんでいたと、出席者たちは語っている。気候危機の危険性は誇張されていると考えるライト氏のような人物に拍手を送る一方で、彼らはロンドンの気温が35度を頑固に超え続ける中、お土産袋に入っていた「言論の自由がこれほどクールに感じられたことはない」というスローガンが書かれた扇子で涼をとっていた。

「気候変動なんて存在しない!」「気候変動否定も言論の自由だ!」と言いながら気候変動で引き起こされた猛暑に苦しむ姿は、間違いなく滑稽ではあるが、一貫性という意味では若干クールといえなくもなくもなくもない。

ロンドンで開催された「反覚醒(反woke)ダボス会議」と呼ばれる右派会議で、ケミ・バデノック氏は、英国の経済苦境の原因は「悪者」にあると代表者たちに語った。

どうでもいいけど「反覚醒ダボス会議」、字面だけ見るとみんなでお昼寝する会議みたいだな…(気候変動を否定して猛暑の中で熱中症になりかけるよりはお昼寝でもしていてほしい)

世界中で「反woke」とか言ってる人が科学や事実に抗ってピンチになってる姿をしょっちゅう見るので、もしかするとだが、人間は起きている時は基本wokeであった方がいいのかもしれない(居眠り運転すると事故って死ぬため)

ところで記事にも言及あった映画「ドント・ルック・アップ」は気候変動への社会の反応を巨大隕石のメタファーで表現した映画。傑作なので見ようね↓

www.netflix.com

 

まぁwokeじゃなさすぎて熱中症になってる気候変動否定論者はどうでもよくて(死んでほしくはないが)、建設的に生きたい人はこんな記事も読んでみてほしい。

「気候変動を隠蔽するのはもうたくさん。科学者の意見にもっと耳を傾けるべきだ」

www.climatecoloredgoggles.com

トランプ政権にすり寄ったビル・ゲイツが「気候変動の脅威は誇張されている」とか言い出してから半年たったが、誇張でもなんでもなく、世界では早すぎる猛暑に襲われて大勢の人が亡くなっている。

ゲイツのような風見鶏の金持ちと違い、科学者は一貫して気候について警告していた。

「私のアドバイス:ゲイツ氏の言うことを聞くのはやめて、フォーリー氏[プロジェクト・ドローダウン主催の科学者]の言うことを聞きなさい。そして、7月4日のアメリカ独立記念日を祝う際には、この国を偉大にしている科学者たちに乾杯しましょう。野球、アップルパイ、そして科学に込められた、真の愛国心に浸りましょう。
評論家が地球温暖化は有権者にとって重要ではないと主張したり、大統領候補がクリーンエネルギー目標は費用がかかりすぎると主張したり、IT業界の男が気候変動は大したことではないと主張したりするのを次に聞いたら、少し立ち止まり、気候科学者なら何と言うだろうかと自問してみてください。」

(記事は独立記念日を迎えるアメリカ人に向けられているようだが)日本人としても同感だ。ビル・ゲイツほど有名ではないというだけで、発信を続ける科学者は世界に沢山いる(日本でいうと江守正多先生など)。

websekai.iwanami.co.jp

今こそ(過剰な影響力をもつ億万長者やXの謎のインフルエンサーではなく)科学者に「直接」耳を傾けるべき時ではないでしょうか。それが可能な時代なのだから。

まぁXで科学者をフォローするのもいいけど、英語圏だと今まともな科学者が(Xにうんざりして)けっこうBlueskyに移行してるので、日本だとブルスカやってる人まだそんな多くないかもだが、たまには覗いてみてはいかが。

Blueskyの明白な長所は(無知な金持ちではなく)本物の科学者が沢山いることであり、気候変動について発信してる方も多いので、直接聞けばいい。 先ほどの記事に出てくる科学者の皆さんはこちら↓ ケイト・マーベル @drkatemarvel.bsky.social デビッド・ホー @davidho.bsky.social キャサリン・ヘイホー @katharinehayhoe.com アンドリュー・デスラー @andrewdessler.com ジョナサン・フォーリー @globalecoguy.bsky.social マイケル・マン @michaelemann.bsky.social

ぬまがさワタリ@『いきものニュース図解』ほか3/19同時発売 (@numagasa.bsky.social) 2026-07-03T04:25:22.479Z

bsky.app

 

最後に「気候変動をなんとかしようったって、トランプもアレだし、もうどうにもならないよ、みんな死ぬんだよ」とヤケになってる人に向けて、ひとつ記事をオススメして終わろう。

「レベッカ・ソルニット:気候変動への絶望が贅沢である理由」

frompoverty.oxfam.org.uk

気候変動のような大きな問題について、比較的恵まれた人(※日本人含む)が、「もう手遅れだ」と勝手に絶望してしまうのは、ただの贅沢である(そして間違っている)という話。

差し迫った危険に直面している人々にとって、行動を起こさないという選択肢は許されず、絶望に陥ることも許されない。しかし、絶望は至る所に蔓延し、問題は解決不可能であり、自分たちには力が足りず、努力は無駄であり、誰も心から気にかけてくれず、人間の本質は根本的に腐敗していると囁きかけてくる。

すでに生活が楽な私たちにとって、諦めるということは、少なくとも努力という面では、生活をさらに楽にすることを意味する。しかし、直接影響を受けた人々にとって、それは壊滅的な状況に屈服することを意味する。彼らの代わりに諦めることは、連帯ではない。そして絶望的な状況にある人が、はるかに安全な場所で人々が自分たちの代わりに苦悩し、絶望しているという考えに慰めを見出したとは到底思えない。

たとえば気候変動問題において「もう何をしてもダメだ、手遅れだ」と今の我々が勝手に絶望して諦めてしまうことは、将来の世代からすれば「何もしなかったという意味では気候変動否定論者のアホどもと同じじゃね―か」となるのよね、当然。

トランプとか全部めちゃくちゃで終わってるし日本政府もひどいので、気候変動にしても「もうダメだ」とか思っちゃうのは心情的に理解できるけど、ただトランプに至ってはあまりに全部が終わりすぎてて逆に気候変動対策を推し進めちゃってる説も生じているからな。

参考記事↓

www.theguardian.com

イランとイスラエルに対する彼の拙劣な攻撃、そしてその結果としてホルムズ海峡で世界の石油・ガス供給量の約20%が封鎖されたことは、各国がいかにして世界の化石燃料貿易から独立できるかという新たな検討を促した。

絶望的にひどい人間や政治の存在に絶望すべきとは限らない例といえる。

その絶望には共感するけど、だからって何もかも「もうダメだ」と片付けて生きていくわけにもいかないでしょ、と思って書いた記事はこちら↓(クソリプも相当いただいたが、こんなに「書いてくれてありがとう」とお礼を言われた記事はない)。

numagasablog.com

そんなわけで人類史上屈指の深刻な問題・気候変動についても諦めないでいきましょう。まずはなんとか今年のヤバそうな夏を生き延びましょうね。

日本の6月は比較的マシだった印象だが、来週から「本気出す」とのこと。くれぐれも注意しましょう(気候変動否定論者もね)

weathernews.jp

おしまい