沼の見える街

ぬまがさワタリのブログです。すてきな生きもの&映画とかカルチャー。

ゾンビとショッピングモール

  • 今日は金曜日ということで(?)映画を2本ハシゴしてきました。是枝監督の『海よりもまだ深く』と『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』です。どっちもポイント鑑賞でタダで見たんですが、それぞれ大変面白かったですね(面白さの種類は全然違いますが…)。そのうち感想を書こうと思います。しかし『デッドプール』がまだ書けてないんだよな…。書けるだろうか…。
  • ところで映画を観た場所が近所のショッピングモールなんですが、この場所の存在をつい先日まで全然意識していませんでした。電車で200円くらいの近場にあって、TCXとかの設備も充実していてなかなか良い映画館なんですが、無意識のうちに選択肢から外していたんですよね、不思議なことに…。
  • ショッピングモールってなんとなく良いイメージがなくて敬遠してたんですが、いざ使ってみると、同じ建物の中にたくさん飲食店とか本屋さんとか時間を潰す場所も多いし、雨の日でも濡れないし、都心から離れているのでそこまで人も多くないし、いようと思えば一日中いられてしまう気がするし、なんか「けっこう良いな」と思いました。こりゃ人気なのもわかるわ、と…。
  • なんでショッピングモールにあんまり良いイメージがなかったのか考えてみたんですが、ロメロの『ゾンビ(ドーン・オブ・ザ・デッド)』の影響が大きいのかなと思いました。『ゾンビ』の舞台はショッピングモールなんですが、なんというか「現代消費社会」の象徴として批判的に描かれていまして…。『ゾンビ』のゾンビは生前の習慣をある程度維持していて、死ぬ前によくショッピングをしていた人は死んだ後もその場所につい集まっちゃう、みたいな設定になってるんですね。
  • 映画の中ではショッピングモールを大量のゾンビがさまよっているんですが、「結局アメリカ人ってのはみんなショッピングモールでうろうろして消費しながら人生を終えるんだ」みたいな、すごく強烈な皮肉になっているわけです(あくまで解釈のひとつですが)。なので私も「あんまりショッピングモールに入り浸るような人生にならないようにしよう」とか無意識に考えていたのでしょう…。
  • でもやっぱり映画館とか飲食店とかあって、ゴミゴミした街よりも安全で動きやすくて、居心地がいいことに気づいてしまったので、「映画を観たいな」と思ったら今後もけっこう足を運ぶことになるかもしれません。(私的な事情により夏以降はあまり都心に出られないことになりそうですし。)自分はゾンビに一歩ずつ近づいているのだろうか…とか考えちゃう一方、まぁ使える場所は好きに使っていけばいいんじゃないかな、とも思います。
  • ロメロにしたって「ショッピングモールをうろつくだけの人生」が「悪いもの」とは一言も言っていませんからね。そもそも別にゾンビになることが「不幸」だとも描かれていませんし…。(荒木先生なんかはゾンビの没個性っぷりに幸福すら見出していました。)ただショッピングモールのもつ独特の「虚しさ」みたいなものを感じられる心は、大切にするべきだろうなと思います。それを教えてくれるのもまた映画、というのがなんとも皮肉ですが…。
  • 大抵の方には「なんのこっちゃ」でしょうが、そろそろ終わります。わりと普段からこんな益体も無いことばかり考えているのです。無駄ですね…。でも『寄生獣』のミギーが「無駄なことができるのが人間の素晴らしさだ」って言ってました(突然のミギー頼り)。今後も無駄なことを考えていきたいです(突然の決意)。おしまい。