- ブルーレイで『ヒックとドラゴン2』(原題:How to Train Your Dragon 2)を観ました。アマゾンのセールとやらで安くなってたので、大好きな「1」とセットで注文してみたのです。一応プライム会員だからか、昨晩頼んだら今日届いてびっくりした。そんなすぐ来なくてもいいのよ。
- さてこの『ヒックとドラゴン』シリーズですが、2010年に公開された「1」の傑作ぶりについては、もはや説明不要かもしれませんね。とはいえ一応説明しておくと、同盟の児童小説が原作の、北欧っぽい世界を舞台にしたドリームワークスの長編CGアニメです。監督は『リロ・アンド・スティッチ』のコンビ。
- ざっくり言うと、ヒックというバイキングの少年と、バイキング世界では「悪」とされているドラゴンの出会いと交流を描いた物語です。害獣であるドラゴンを殺すことが正義とされる世の中で、優しい心を持つヒックはみんなに軽蔑されています。そんなある日ヒックは偶然にも、最強のドラゴン「ナイト・フューリー」に傷を負わせることに成功するのですが、殺せばヒーローになれるとわかっていても、どうしても殺すことができない。それをきっかけにヒックはドラゴン(トゥースと命名)と、おそるおそるながら心を通わせていき、やがて…?という感じのお話です。
- 言葉にしてしまえば「ありがち」に聞こえるかもしれませんが、これがもう、とんでもない大傑作でして…!とにかく脚本・CG・美術・音楽・3D効果、あらゆる要素が抜群のクオリティを誇るだけではなく、それらが完璧にかみ合っている。もう5年前になりますが、公開時にたまたま映画館で観ることができ、度肝を抜かれたものでした。ポスターを観たときには「スゲーつまんなそうな映画だなあ」と思ったんですけどね(失礼)…。良い意味で完璧に予想を裏切られましたよ。
- 『ヒックとドラゴン1』の最大の名シーンは何と言っても、ヒックとトゥースの「飛行」が初めて成功するあの場面でしょうね。翼をもたないヒックも、傷を負ったトゥースも、一人では飛ぶことができない。だからこそヒックは知識と技術を生かして「馬具」のような装置を作り、試行錯誤と研究を重ね、トゥースと「二人で」一緒に飛ぼうとします。そしてとうとう成功の瞬間が訪れるのですが、その場面のカタルシスが本当に凄い!「3Dで映画を観てよかった」と心の底から思える、初めての経験でした。いまだにその場面の音楽を聴くだけで鳥肌が立ってくるくらいです。
- とにかく『ヒックとドラゴン1』、良かったところを語り出すともうキリがない傑作なわけですが、本作の最重要なテーマを一言で言うと、「わかりあえないはずの他者とわかりあい、共に生きていくこと」なんですね。そしてこの映画が素晴らしいのは、「共に生きること」の正しさや幸せだけではなく、その結果生じる負の側面もきっちり描いていることなんです。
- 特に『1』の結末では、この手の子供向けアニメではまずありえないような「犠牲」がしっかりと描写され、きれいごとだけではすまない「共生」のシビアさを提示しました。そのシビアさを通じてやっと、ヒックとトゥースの関係性が本当の意味で完成する。他者同士が真に「共に生きていく」ことの厳しさと喜びが示され、映画が終わるわけです。
- もう、完璧な作品としか言いようがないですよ。これを「生涯ベスト」に選ぶ人がいたって全然おかしくない、紛うことなき傑作だと思います。ただ残念なことに、日本公開時はライバルがあの『トイストーリー3』だったこともあり、あんまりヒットはしなかったわけですが…。おのれウッディ、おのれバズ。あっちも大好きですが。
- そしてその続編『ヒックとドラゴン2』が、ついに2014年に全世界で公開されました。続編ということで若干の不安があったものの、『2』も素晴らしい作品だという話も伝わってきたため、私も「日本公開まだかな〜」とワクワクしていましたよ。しかし、ですね…。残念ながら『2』は、ついに日本で公開されることはありませんでした。公開を求める大規模な署名運動まであったんですけどね。まさかのDVDスルーとなってしまい、心ある大勢の映画ファンが枕を濡らすことになったのでした。
- やはり『1』が日本で商業的に振るわなかったことが最大の理由でしょうね。にもかかわらず『1』の海外での評価が極めて高かったため、続編『2』の買い付けの値段がグンと上がってしまった。それゆえ、日本の配給会社が二の足を踏んでしまったのでしょう。まったく情けねぇ話だぜ、採算がそんなに大事かコラ、立川シネマシティを見習いやがれ(!?)とは思うものの、「賭け」に出られなかった気持ちもわからんでもありません。悲しいことですが…。
- で、今月、ようやっと日本でも『2』のソフトが発売されました。そんなわけでさっそくブルーレイを買って観て、今に至るというわけです。
- そんで今夜は『2』について語るナイトにしようと思っていたんですが、前置きがめちゃくちゃ長くなってしまいましたね…。どうしよう。今日はここまでにしとこっかな(えー…)。というわけで『2』についての感想はまた後日にします。もうしわけない。前評判通り『2』も実に面白く興味深い作品だったため、語るならじっくり語りたいので…。とにかく、万が一まだ『1』を見ていないという方がいたら、この土日にでも見ておいてください。約束ですよ(誰?)。ではまた。